研究課題/領域番号 |
23K14773
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 大輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20879944)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / メタボローム解析 / エンドカンナビノイド / 代謝異常 |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は進行性の筋萎縮・筋力低下を呈する運動ニューロン疾患であり、その90~95%は孤発性であり病態の多様性が示唆されている。本研究は、ALS患者で認められるメタボローム変化を起点にし、それらを細胞・動物モデルで検証し、ヒトとモデル細胞・動物で共通する病態を解析することを目的とする。研究者は予備的検討において、ALS患者の血清を用いたメタボローム解析により見出したエンドカンナビノイドやS-アリルシステインの代謝異常について、様々な遺伝子変異を導入したモデルを用いた解析、データベースを用いたin silico解析、ALS患者のバイオサンプルを用いて多角的に解析する。
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研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンが選択的に障害をうけ、全身の筋力低下をきたす、進行性の神経変性疾患であるが、その進行病態はいまだに明らかではない。進行を規定する因子を同定するために、予備的検討においてALS患者血清を用いたメタボローム解析から、数種類の代謝因子を同定した。本研究課題ではS-アリルシステイン代謝とエンドカンナビノイド代謝に標的を絞り、進行病態との関連を明らかにする。これまでにALSのモデルマウスである、SOD1G93A変異導入マウスに対し、S-アリルシステイン含有餌を投与し、生存が延長される傾向を確認した。本年度は、さらに多くの個体に対してS-アリルシステインの投与を行い、生存解析、運動解析を行い、その生存延長作用と筋力低下抑制作用を確認した。さらに、16週齢のマウスの脊髄を解剖によりサンプリングを行い、病理学的検討、メタボローム解析、RNA-Seqを行った。病理学的検討ではマウスの腰髄を抗ChAT抗体により染色を行い、運動ニューロンの保護効果を確認した。脊髄のメタボローム解析では、S-アリルシステインの投与により、脊髄中のS-アリルシステインの濃度が実際に上昇していることおよびその下流の代謝物質の上昇を確認し、代謝の変化を明らかにした。さらにRNA-Seqではミトコンドリア機能に関わる遺伝子群の変化を確認し、S-アリルシステインのミトコンドリア代謝介入作用が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、S-アリルシステインのマウス投与実験を行い、その病態機序の一端を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
エンドカンナビノイド代謝については、他のモデルマウスなどを対象にしたin silico解析を行う予定である。
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