研究課題/領域番号 |
23K14779
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
野村 隼也 熊本大学, 病院, 助教 (00880080)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ATTRvアミロイドーシス / 脳アミロイド血管症 / 肝移植 / 脳髄膜リンパ管 / ATTR型脳アミロイド血管症 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝性ATTRアミロイドーシスは主に肝臓で産生された変異型トランスサイレチン (TTR)が原因となりアミロイドを形成し、全身諸臓器に沈着することにより様々な臓器障害を引き起こす常染色体優性の神経難病である。これまで肝移植療法が行われ本症の予後を劇的に改善したが、長期生存例は脳アミロイド血管症による中枢神経症状を高頻度に呈することが明らかになってきた。近年開発された四量体安定化剤や核酸医薬も脳アミロイド血管症を抑制する効果は期待できない。本研究では、中枢神経系に存在する脳髄膜リンパ管に着目することで、“除去システムの観点”から本症のアミロイド沈着機構の解明につなげる。
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研究実績の概要 |
遺伝性ATTRアミロイドーシスは主に肝臓で産生された変異型トランスサイレチン (TTR)が原因となりアミロイドを形成し、全身諸臓器に沈着することにより様々な臓器障害を引き起こす常染色体優性の神経難病である。これまで肝移植療法が行われ本症の予後を劇的に改善したが、長期生存例は脳アミロイド血管症による中枢神経症状を高頻度に呈することが明らかになってきた。近年開発された四量体安定化剤や核酸医薬も脳アミロイド血管症を抑制する効果は期待できない。本研究では、中枢神経系に存在する脳髄膜リンパ管に着目することで、“除去システムの観点”から本症のアミロイド沈着機構の解明につなげる。 計画初年度である2023年度は、本症における産生システムの解析のために、ATTRvアミロイドーシスの非肝移植5例と肝移植6例を対象に、Congo red染色を行い脳アミロイド血管症の病理学的特徴、また、質量分析的手法(LC-MS/MS)を行い、生化学的特徴を解析した。脳血管へのアミロイド沈着量および血管構造変化の程度は、肝移植の有無にかかわらず罹病期間に相関して進行する傾向が認められた。また、脳血管に沈着したアミロイドを構成するTTRは、非肝移植症例、肝移植症例とも変異型優位であった。以上より、脳血管に沈着したアミロイドの形成は肝臓由来のTTRの影響をほとんど受けず、脈絡叢由来の変異型TTRの影響を受けることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画初年度である2023年度は、ATTRvアミロイドーシスの脳アミロイド血管症の産生システムの解析のために、病理学的手法と質量分析的手法を用い、脳血管に沈着したアミロイドの形成は肝臓由来のTTRの影響をほとんど受けず、脈絡叢由来の変異型TTRの影響を受けることを明らかにし、一定の研究結果を得ることができた。しかし、除去システムとしての脳髄膜リンパ管に着目した研究の進捗はなく、本研究課題の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ATTRvアミロイドーシスにおける脳アミロイド血管症の除去システムの解明のために、 本疾患の脳アミロイド血管症剖検症例(各40例)を対象に、リンパ管内皮細胞マーカー(LYVE-1)に対する抗体を用いた免疫組織染色を行い、脳髄膜リンパ管を同定、Congo red染色と抗TTR抗体を用いた免疫組織染色を行い、脳髄膜リンパ管に、アミロイド沈着を認めるかを検討する。また、ATTRvアミロイドーシスモデルとリンパ管機能不全を認めるProx1欠損マウスを交配、また、ATTRvアミロイドーシスモデルにリンパ管機能障害をきたす薬剤(verteporfin)を投与することで、リンパ管機能不全を認めるATTRvアミロイドーシスモデルを作成する。Congo red染色と抗TTR抗体を用いた免疫組織染色を行い、脳血管、脳髄膜リンパ管、髄膜に、アミロイド沈着を認めるかを検討する。
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