研究課題/領域番号 |
23K14793
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 愛子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (20831522)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 心理的苦悩症状 / ライフイベント / 気分障害 / 評価尺度 / ERPD-24 / 介入 / 心理的苦悩 / 治療 |
研究開始時の研究の概要 |
気分障害患者は、家庭や職場での人間関係の問題等の、心的外傷体験には満たない、日常的に起きうる出来事に関連して、フラッシュバックや憤り、後悔などの心理的苦悩を来す。これを「ライフイベントに関連した心理的苦悩:Event-related psychological distress(ERPD)」と定義し、ERPDに特化した評価尺度を先行研究で開発した。 本研究では、気分障害におけるERPDの臨床的意義の解明、ERPD・気分障害の新規治療法開発を目的とし、ERPDの気分障害の経過・予後への影響を前向きコホート調査により調べ、ERPDに焦点を当てた心理教育的介入法を作成し、探索的試験により評価する。
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研究実績の概要 |
心的外傷後ストレス障害の診断基準に満たない、より日常的に起こりうる出来事に関連した心理的苦悩において、「気分障害患者のライフイベントに関連した心理的苦悩症状のための尺度開発(20K16616)」にてその評価に特化した評価尺度「ERPD-24」を作成した。この心理的苦悩症状(Event-Related Psychological Distress:ERPD)が気分障害の回復阻害要因となる可能性を考え、ERPDが気分障害の経過・予後に及ぼす影響を前向きコホート調査にて明らかにすること、ERPDに焦点を当てた心理教育的介入法を作成し、探索的試験によりERPDおよび気分症状の介入前後での変化を評価することを研究課題としている。
令和5年度は、「研究Ⅰ.気分障害におけるERPDの経過・予後に関する前向きコホート調査」を実施した。うつ病・双極性障害を持つ被験者に対して、評価尺度を初回および各被験者が異なる気分状態に至った際に使用し、データを蓄積している段階である。また、2回目以降の評価時期に関しては、被験者の気分状態に依存するため、過去の研究で初回調査が終了している被験者のフォローのみならず、新規の被験者へのリクルートの体制を整え、より効率的に調査が進められるようにした。
令和6年度は、研究Ⅰのコホート調査を継続する。また、「研究Ⅱ.心理的苦悩症状(ERPD)の介入プログラム作成研究」に関しては、ERPDが「復讐心・反芻・自己否定・精神麻痺」の4要素から構成されることから、それぞれに対する介入を可能とするため、4要素の治療的介入に関しての文献調査を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は、気分障害の経過・予後にERPDが及ぼす影響について明らかにするため、心理的苦悩症状を持つ、20-64歳の気分障害患者(双極性障害・うつ病)を対象に「研究Ⅰ」を実施した。うつ病患者は抑うつ状態及び寛解時、双極性障害患者は抑うつ状態、躁・軽躁状態、寛解時にERPD-24を実施し、気分症状の評価には簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)を用いた。2回目以降の評価時期に関しては、被験者の気分状態に依存するため、過去の研究で初回調査が終了している被験者のフォローのみならず、新規の被験者へのリクルートの体制を整え、より効率的に調査が進められるようにし、データを蓄積している。令和5年度は「研究Ⅰ」に注力し、「研究Ⅱ」に関しては準備の段階にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、主に「研究Ⅰ」を実施してきた。「研究Ⅰ」に関しては前向きコホート研究であり、2回目以降の評価時期に関しては、被験者の気分状態に依存するため、引き続き被験者のフォローを継続し、データを蓄積していく。「研究Ⅱ」に関しても、ERPDが「復讐心・反芻・自己否定・精神麻痺」の4要素から構成されることから、それぞれに対する介入を可能とするため、令和6年度は4要素の治療的介入に関しての文献調査を開始する予定である。
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