研究課題/領域番号 |
23K14799
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中神 由香子 京都大学, 学生総合支援機構, 助教 (60866185)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 統合失調症 / 自己抗体 / 血清 / 抗NMDA受容体抗体 / 精神医学 / 構造生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
抗NMDA受容体抗体によって引き起こされる脳炎では、統合失調症と類似する症状が生じうる。しかし、治療法は統合失調症と異なるため、その診断の重要性は極めて高い。診断には脳脊髄液を用いた抗体測定が必要となるが、脳脊髄液採取は時に困難であるため、血液検査による診断方法確立が望まれている。 そこで、血清サンプルを用いて抗NMDA受容体抗体をいかにして高い精度で検出するかという点を課題とした。 本研究では、構造生物学で用いられる、精製膜タンパク質をリポソーム中に再構成しELISA法を組み合わせて抗体測定するリポソームELISA法が、血清中の抗NMDA受容体抗体の検出に有効であるか検証を行う。
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研究実績の概要 |
統合失調症は若年期に発症することが多く、幻覚や妄想などの精神症状が特徴的な精神疾患です。この疾患の病理生理はまだ完全には解明されていませんが、近年、さまざまな病態との関連が明らかになってきました。その一つが自己免疫異常です。自己免疫異常とは、本来は体を病気から守る役割を持つ免疫システムが、誤って自身の組織を異物と認識して攻撃する状態を指します。 自己免疫異常の関与は、統合失調症に似た幻覚や妄想などの症状を引き起こすことがある抗NMDA受容体脳炎にも見られます。この脳炎は、抗NMDA受容体抗体によって引き起こされる脳炎です。この抗体が発見される以前は、一部の患者は誤って統合失調症と診断されていた可能性が高いと考えられています。一方で、抗NMDA受容体脳炎に対しては、統合失調症と異なり、免疫治療が効果的です。つまり、抗NMDA受容体抗体が発見されたことにより、統合失調症の一部(抗NMDA受容体抗体陽性群)には、新たな治療がもたらされたと言えます。 このように、統合失調症患者の血清から新規の抗体を同定することができれば新しい治療方法も開発できる可能性があることから、我々は統合失調症患者の血清から新規抗体を探索してきました。そして、ラットの脳組織を用いて二次元電気泳動を行い、統合失調症患者と健常者の血清から抗原候補を同定しました。その結果、ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC)の一部であるPyruvate Dehydrogenase E1 Subunit Alpha1(PDHA1)に対する自己抗体が統合失調症患者の血清中に存在することを明らかにすることができました。この発見は2020年に世界で初めて学術報告されました。 現在、本研究ではこれまでの成果を基に、特にcDNAライブラリを利用して、統合失調症と関連する新規の抗体を発見することを目指しています。新規抗体を発見することができれば、統合失調症の病態理解を深め、新たな治療法の開発につながる可能性があります。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者リクルートが思うように進まず、血清が満足に集まらないため、進捗は当初見込んでいた状況より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、より多くの患者から血清を集め、また縦断的に症状評価および血清取得を行うことで、新規抗体の同定とその抗体の病的意義解明を行っていく。
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