研究課題/領域番号 |
23K14802
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
大給 日香里 香川大学, 医学部, 助教 (50909611)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 巣作り行動 / 社会的ストレス / うつ様行動評価 / 社会的ストレスモデルマウス |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病研究ではヒトの病態を反映する動物モデル評価系が必要であり、特にうつ状態に伴う意欲の低下を高感度に評価できる系の開発は難治性うつ病薬を開発する上で急務となっている。一方申請者らは、うつ病モデルとして汎用されている社会的ストレスモデルマウスにおいて、本来備わっている巣作り行動が大幅に遅延することを見出した。この遅延は、ヒトにおける“意欲”の喪失を反映するモデル評価系となる可能性がある。そこで本研究では、新薬の開発に資するモデル評価系を確立するために社会的ストレスを暴露したオスマウスの巣作り行動遅延に着目し、それが引き起こされるメカニズムの解明とうつ様評価系としての有用性の検討を行う。
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研究実績の概要 |
うつ病研究ではヒトの病態を反映する動物モデル評価系が必要であり、特にうつ状態に伴う意欲の低下を高感度に評価できる系の開発は新たな抗うつ薬を開発する上で急務となっている。先行研究では、うつ病モデルとして汎用されている社会的ストレスモデルマウスにおいて、本来備わっている巣作り行動が大幅に遅延することを見出した。ストレスによる巣作り遅延現象は、ヒトにおいての“意欲”の喪失を反映する新規の評価系となる可能性がある。そこで本研究の目的を社会的ストレスモデルマウスの巣作り評価系の有用性の検討および巣作り遅延を引き起こす神経基盤を解明し、新薬の開発に資するモデル評価系を確立することとした。 現時点までに巣作り評価系の有用性について検討するために他のストレスモデルマウスでも巣作り評価系が使用できるか試験を行った。特にストレスモデルとして広く使用されている拘束ストレスモデルに着目した。1時間の拘束ストレス暴露では、ストレスがマウスの巣作り行動に影響を与える傾向が見られたが、社会的ストレス暴露よりも深刻な巣作り遅延は引き起こされなかった。また先行研究では、急性社会的ストレスモデルマウスは巣作りが遅延していたにも関わらず、その間自発活動量が増加していた。そのため急性社会的ストレス暴露後のモデルマウスの具体的な行動の特定と巣作り行動との関係を探索することを試みた。深層学習を使用したマウスのホームケージ内での詳細な行動解析を行うために、解析可能な条件を満たす画像が撮影できるかの検討を行い、現在次の段階としてマウスの行動を動画から抽出可能かどうかを解析中である。巣作り遅延を引き起こす脳責任部位の探索では免疫組織染色手技の検討やc-fosタンパク質がどの時点で最も発現するか等を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度では、急性社会的ストレス暴露後のモデルマウスの具体的な行動の特定と巣作り遅延との関係を探索する予定であった。しかし、撮影環境や深層学習を使用した行動解析のための検討を重ねる上で器具等の発注に時間を要したことで遅れてしまい、予想よりも行動解析が進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの行動画像を用いて深層学習等の手法で解析を行い、引き続き具体的な行動の特定を試みることで巣作り遅延との関連を探索する。巣作り障害を引き起こす脳責任部位を探索するためにc-Fosタンパク質の発現を免疫組織染色にて確認することで脳の活性化領域を同定する。加えてc-Fos陽性細胞に発現する神経伝達物質を同定するために、様々な神経細胞マーカーを使用してタンパク質の発現を調べる。次に活性に変化が見られた脳部位および神経伝達物質を元に、ストレス状態で巣作り行動を制御する神経回路の候補を見出す。さらにその神経回路から急性社会的ストレスモデルマウスの巣作り行動遅延の責任部位の特定を行えるように光遺伝学的手法を構築する。
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