研究課題/領域番号 |
23K14811
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮島 真貴 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (30779773)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 細胞老化 / 病態解明 / 新規治療 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder: ASD)は, 社会性の障害や常同的・反復的な行動様式を呈する神経発達障害である.乳幼児期に発見されることが多く,その症状は生涯にわたるが,発症メカニズムは十分に分かっていない.我々は神経芽細胞の細胞老化がASDの病態像に関与している可能性を示してきた.そこで本研究では①ASDの発症と神経芽細胞の細胞老化の関与を明らかにし,②老化した神経芽細胞のシナプスの刈込異常を明らかにする. さらに, ③神経芽細胞の細胞老化を制御する方法を新たに探索し, 病態メカニズムに基づいた新たなASD治療へ繋げることを目指す.
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研究実績の概要 |
細胞老化は,細胞にストレスが加わったとき不可逆的に細胞周期を停止して異常な細胞の増殖を防ぐ, 生体防御システムの一つである. 通常, ダメージを受けた老化細胞は,サイトカインやケモカインなど様々な生理活性物質を分泌する細胞老化随伴分泌形質となることで貪食細胞を動員し, 不要な細胞を除去する働きを持つ.一方で,この老化細胞が蓄積することで, さまざまな慢性炎症を引き起こすことも知られている. これまでの研究はASDの発症リスクとされる母体免疫活性化によって生まれた子孫はASD様の行動異常を示すことが分かっており,我々はこれら母体免疫活性化モデルを使用したASDモデルマウスにおいて,細胞老化した神経芽細胞が蓄積し,神経突起を過剰に形成していることを見出した.これらのことからASDの主要な病態である神経突起やシナプスの刈込不全の病態に細胞老化が関与している可能性を見出した. 本年度はASDモデルマウスの組織における老化関連遺伝子の発現を解析し,ASD様の行動異常との関連性を検証した.また,in vitroで神経芽細胞に細胞老化を誘導して神経突起の形態および分子レベルでの変化を分析した.さらに,神経突起が刈り込まれない原因を分析するために,免疫細胞の貪食作用について検証し,刈込不全に関与する生理学的機序を推定することができた.今後は,神経芽細胞の細胞老化を標的とした新規治療薬の探索を行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,①ASDの発症に神経芽細胞の細胞老化の関与を明らかにする②老化した神経芽細胞のシナプスの刈込異常を明らかにするという2点の研究目的について順調に解析が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
現在までにシナプス刈込不全に関わる細胞老化関連因子を明らかにすることができた.今後はこれまでに同定した関連因子に基づき,神経芽細胞の細胞老化を標的とした新規治療薬の探索を実施する.
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