研究課題/領域番号 |
23K14818
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大盛 航 広島大学, 病院(医), 助教 (70799171)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | バイオマーカー / 高齢者うつ病 / 脳脊髄液 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者うつ病と認知症の前駆症状としての抑うつ状態は鑑別が難しく、両者を鑑別する技術が求められているが、未だに確立されたものはなく、鑑別が可能なバイオマーカーを創出することを目的とする。先行研究でうつ病と関連が示唆されている脳由来神経栄養因子(BDNF)プロペプチド、認知症の前駆症状との鑑別に有用と考えられるリン酸化タウタンパク質(p-tau)やp75ニューロトロフィン受容体の細胞外ドメイン(p75NTR-ECD)に着目し、高齢者うつ病患者、アルツハイマー病患者、及び高齢健常者の脳脊髄液サンプル及び血液サンプルを用いて判別精度の高いバイマーカを探索的に検討する。
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研究実績の概要 |
適切な診療を実践するには、診断の精緻化と病態に応じた治療を提供できることが必須である。しかし、うつ病を代表とする精神疾患の診断は医師の問診による臨床症状の把握によってなされるため、その客観性・信頼性はこれまで問題視されてきた。さらに高齢者うつ病と認知症の前駆症状としての抑うつ状態は鑑別が難しく、両者を鑑別する技術(認知症を除外し、うつ病を簡便に診断できる技術)が求められているが、未だに確立されたものはなく 、鑑別が可能なバイオマーカーを創出することを本研究の目的としている。よって先行研究でうつ病と関連が示唆されている脳由来神経栄養因子(BDNF)プロペプチド、認知症の前駆症状との鑑別に有用と考えられるp75ニューロトロフィン受容体の細胞外ドメイン(p75NTR ECD)などに着目し、高齢者うつ病患者、アルツハイマー病患者、及び高齢健常者の脳脊髄液サンプルを用いて、判別精度の高いバイオマーカーを探索的に検討する方針である。p75NTR-ECDの測定にはELISA法を用い、測定値とハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)やミニメンタルステート検査(MMSE)との関連を調べる。これまで、呉医療センター及び熊本大学で採取した脳脊髄液サンプルを用いて、3群(高齢者うつ病患者、アルツハイマー病患者、及び高齢健常者)のp75NTR‐ECD濃度を予備的に測定し、3群間で比較したところ、有意傾向を認めた。また、p75NTR‐ECD濃度とHRSDスコアの一部やMMSEスコアとの関連も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p75NTR‐ECDが3群間(高齢者うつ病患者、アルツハイマー病患者、及び高齢健常者)で有意傾向を認め、精神症状との関連が示唆されることを見出した。よってp75NTR‐ECDが鑑別バイオマーカーの候補である可能性が示唆され、研究の進捗状況としては概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、測定サンプル数を増やし、脳脊髄液中p75NTR‐ECDが高齢者うつ病の鑑別バイオマーカーとして有用であるかどうかを統計学的検討を行い、判断する。
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