研究課題/領域番号 |
23K14867
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 廉 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座助教 (80774223)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | DDS / 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
肝細胞癌(HCC) の治療で、抗PD-L1抗体の全身投与による癌免疫療法が行われている。しかし治療効果は決して満足のいくものではない。本研究では、新たなDDSであるリピオドール・ピッカリングエマルジョンを用い、抗PD-L1抗体を徐放する製剤を開発する。さらにHCCモデル動物を使用して、抗PD-L1抗体徐放性リピオドール・ピッカリングエマルジョンの肝動注を行い、抗体のバイオアベイラビリティや腫瘍微小環境に与える影響を明らかにする。本研究によって、より効果が高められた新たな癌免疫療法の開発へとつなげ、臨床応用によりHCC患者の予後改善を目指す。
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研究実績の概要 |
研究計画の通り、抗PD-L1抗体を内包化し徐放するピッカリングエマルジョンを開発し、その基礎特性を評価することを目的として、in vitroの実験を行った。 リピオドールとポリ乳酸-グリコール酸共重合体[Poly (lactic-co-glycolic acids): PLGA]ナノ粒子、抗PD-L1抗体を混合してリピオドールピッカリングエマルジョン(Lipiodol Pickering Emulsion: LPE)を作成した。まずは抗PD-L1抗体の内包化を確認するため、PLGAナノ粒子と抗PD-L1抗体を蛍光標識した上で、共焦点レーザー顕微鏡(LSM710)を用いて観察することで、抗PD-L1抗体がPLGAナノ粒子によりリピオドール中に内包化されることを確認した。次に、LPEの安定性を評価するため経時的な外観観察と光学顕微鏡(BZ-X800L)による観察とエマルジョンの粒径測定を行った。LPEは抗PD-L1抗体を含む通常のリピオドールエマルジョンと比較して、長期的に安定で粒径は有意に小さかった(P<0.001)。さらに徐放能を評価するため、LPEと通常のリピオドールエマルジョンをそれぞれ滴下した生理食塩水を振盪浴(37℃, 150rpm)中でインキュベートした。上清を定期的に回収し、放出された抗体量をBCAアッセイで定量した。LPEは抗体の放出速度がより緩徐であり、早期にプラトーに達した通常のリピオドールエマルジョンと比較して、2週間の期間で漸増性に徐放量が増加した(2週間後の平均徐放量: LPE 82.3μg/mL, 対照群 34.4μg/mL, P<0.001)。以上のように、LPEは抗PD-L1抗体を内包化でき、徐放能が通常のリピオドールエマルジョンより向上することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定していたin vitro実験を終了しリピオドールピッカリングエマルジョンの作成と免疫チェックポイント阻害剤の内包化及び徐放性能を確認した。研究成果を米国IVR学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はin vivo実験に先駆けて実験手法・用量の最適化を進め、ラットHCCモデル作成とリピオドールピッカリングエマルジョンの動注を行い、抗腫瘍効果の確認と、病理解析用のサンプルを採取する予定である。
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