研究課題/領域番号 |
23K14870
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
藤本 昂也 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20867816)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 患者個別化治療 / 画像バイオマーカー / 生体力学モデル / 頭頚部放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
現状の放射線治療ではCTで観察した腫瘍の解剖学情報のみを考慮した治療を行うが,腫瘍の微小環境や機能情報,治療効果に応じて最適な治療法を選択する患者個別化が進められている.この実現と普及には,日常の治療実施フローに実装可能で正確な治療効果予測指標が必要だが確立していない. 本研究では頭頚部放射線治療で日々撮影されるCTのみを用い,生体力学により治療期間中の腫瘍の硬度変化を捉える新しい機能イメージング手法を構築する.さらに治療開始後早期の腫瘍硬度の時系列変化を捉え,早期かつ高精度に治療効果を予測するモデルを構築し,予測結果に応じて最適な治療法を選択する患者個別化治療を支援するシステムを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では、頭頚部放射線治療時の頭頚部放射線治療で日々撮影されるCTのみを用い,生体力学により治療期間中の腫瘍の硬度変化を捉える新しい機能イメージング手法を構築する。さらに治療開始後早期の腫瘍硬度の時系列変化を捉え,早期かつ高精度に治療効果を予測するモデルを構築し,予測結果に応じて最適な治療法を選択する頭頚部放射線治療の患者個別化を支援するシステムを開発する。 当年度の研究では,研究の第一段階として治療前,治療中のCTと治療前のPET画像から得られる代謝情報を用いて治療期間中の腫瘍硬度の変化をマッピングする生体力学モデルを構築した。次に,この硬度マップを用いて放射線治療中の硬度変化を患者ごとに算出し、治療終了後の局所制御率や無増悪生存率、全生存率との関連を調べた。観察期間の中央値は3年とし、既存の確立した予後予測指標であるPETにおける腫瘍内の代謝情報(治療前,治療終了後のPET),治療中の腫瘍の縮小率などを比較対象として本研究で構築したモデルによる予測性能を評価した。 結果として,構築した硬度マップから算出した治療中の腫瘍の硬度変化は,治療前のPETによる代謝情報や腫瘍の縮小量と比較して高い予後予測性能を示した。また治療後のPETによる代謝情報と比較して同等の予後予測性能が示された。 本研究の成果は欧州放射線腫瘍学会で報告したのちに論文投稿し、掲載された(Physics in Medicine & Biology, Volume 69,5)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では治療前,治療中のCTと治療前のPET画像から得られる代謝情報を用いて治療期間中の腫瘍硬度の変化をマッピングする生体力学モデルを構築し、治療終了後の局所制御率や無増悪生存率、全生存率との関連を解析した。本研究で得られた腫瘍の硬度変化は患者予後との良好な相関が得られており、これを学会発表し、論文掲載された。この段階で令和6年度に想定していた研究段階まで達しているため、計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の次段階として,構築した硬度マップを基にして時系列の腫瘍の機能情報の変化をモデル化し、機械学習を用いてより早期に予後予測を行うシステムを構築することに取り組む予定である。 さらにこのモデルを使用して、頭頚部腫瘍の放射線治療効果に対する適応放射線治療に特化した治療意思決定支援システムの実装に取り組んでいく。
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