研究課題/領域番号 |
23K14879
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
豊島 雄二郎 公益財団法人がん研究会, 有明病院 先端医療開発科, 医員 (50899276)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 頭頸部癌 / 放射線治療 / 免疫動態 / 頭頸部がん |
研究開始時の研究の概要 |
放射線治療は、頭頸部癌の重要な治療法の一つである。近年、新たな治療法として免疫チェックポイント阻害剤 (ICI) が出現し、従来の標準治療である同時化学放射線療法との併用に関する臨床試験が数多く行われている。しかし、ICIを併用すべきタイミングなど不明点も多い。よって、放射線治療とICIの最適な併用の確立に向け、放射線による腫瘍免疫応答の仕組みを解明することは重要な課題である。 本研究で、頭頸部癌患者の免疫機能解析により、放射線治療による腫瘍免疫応答の変化を明らかにすることで、頭頸部癌に対する放射線治療とICIの最適な併用時機を探索し、放射線治療の中に効果的に免疫療法を導入することを目指す。
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研究実績の概要 |
1)症例の抽出:頭頸部癌における標準治療であるシスプラチン併用放射線治療群が対象群 (CRT群)、合併症や高齢などの点から化学療法が非適応と判断された放射線治療単独症例をコントロール群とする。この両群の比較により、化学療法の影響を除いた放射線治療単独の腫瘍免疫応答について検証する。さらに、CRT群を①HPV関連癌・根治照射群と②HPV非関連癌・根治照射群に分類する。 2)採血検査:放射線治療前①、治療中② (2回目の抗がん剤投与前)、治療後 (③治療終了直後、④治療終了後2~3週間経過時)、計4回採血 (1回の採血量は14 mL程度) を行った。採血後に血清を遠心分離してアッセイ時まで凍結保存した。また、Ficollを用いた密度勾配遠心法により単核球(PBMCs: peripheral blood mononuclear cells)を単離し、BD FACSymphony;フローサイトメーターにて単核球の機能解析を行った。またPBMCよりゲノムDNAおよびRNAを抽出し次世代シークエンサーを用いてTCRレパトア解析を行った。凍結保存した血清は電気化学発光法による高感度サイトカインアッセイに用いる予定である。 ここまで、33例の検討を行った。全血算とPBMCの解析結果から治療中②の段階でTリンパ球は減少しており、治療終了直後③の段階で最小となり治療終了後2~3週間経過時の④の段階では回復傾向を示していた。一方で、大変興味深いことに単球系は治療後も減少傾向はなく、特にIL-12産生能、抗原提示能の高い骨髄系樹状細胞 (myeloid dendritic cell: mDC) やI型IFN産生能が高いと言われている形質細胞様樹状細胞 (plasmacytoid dendritic cell: pDC) のPBMCに占める割合が治療中 (②)に上昇傾向を示した。今後は解析をさらに進め、免疫関連マーカーのCRT経過中の変化を明らかとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で、シスプラチン併用放射線治療もしくは放射線治療単独治療を施行した頭頸部癌患者33例の採血検査を実施し、単核球(PBMCs: peripheral blood mononuclear cells)を単離し、PBMCよりゲノムDNAおよびRNAを抽出し次世代シークエンサーを用いてTCRレパトア解析を行った。また、BD FACSymphony;フローサイトメーターにて単核球の機能解析を行った。一部の症例でマルチパラメータータンパクの解析(CyTOF解析)も追加で実施している。以上のように、科研費のおかげで経費的に問題なくおおむね順調に研究を実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究に使用する薬剤、実験試薬代、学会参加費などを中心に科研費を有効に使用させて頂き、研究を推進していく。研究をまとめて論文作成にかかる費用にも充てる予定である。
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