研究課題/領域番号 |
23K14893
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
今野 伸樹 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (40815320)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 放射線治療 / 放射線感受性 / 肺癌 / 有害事象予測 / Radiomics |
研究開始時の研究の概要 |
「肺癌化学放射線療法における放射線感受性に基づく有害事象予測モデルの構築」 申請者らがこれまでに確立した放射線感受性を予測する手法は、放射線治療中の患者の採血検体から末梢血リンパ球のDNA損傷及びDNA修復能を解析し、従来よりも簡便な手法で放射線感受性を評価可能である。本研究では、その手法を発展させ、予測精度を向上させることで、有害事象の発生が治療効果に大きな影響を及ぼす局所進行肺癌患者において、個別化医療の実現に向けた放射線感受性に基づく有害事象予測モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は局所進行肺癌に対する化学放射線療法を受ける患者の放射線感受性を評価し、個別化医療のための有害事象予測モデルの構築を行うことである。広島大学病院の倫理委員会の承認を取得し、現在までに11例の肺癌症例から本研究の参加に同意を得た。治療に同意取得後、全例で治療を完遂しており全11例の患者において研究計画書に記載した下記の「検討1」及び「検討2」を評価した。 ●検討1.末梢血リンパ球中の染色体異常及びDNA損傷の解析:放射線感受性の評価法には以下の指標を用いる。1.免疫染色法によるガンマH2AXフォーカスの経時的変化(DNA損傷の指標)2.上述のPNA-FISH法による照射後の染色体異常の経時的変化(DNA修復能の指標) 放射線治療中の肺癌患者において、初回放射線治療、治療中(20 Gy 時点)、治療終了日、それぞれの放射線治療前後の末梢血リンパ球を採取し、上記解析を行う。 ●検討2. 肺癌化学放射線療法の有害事象、治療効果の評価:1.有害事象の評価:急性期有害事象(食道炎、肺臓炎、皮膚炎)、晩期有害事象(食道狭窄・肺機能)の評価をCTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Effect)ver5.0を及び肺機能検査をもとに行う。 2.治療効果の評価:奏効、全生存期間、無増悪生存期間、局所領域制御期間の評価を行う。 当初の研究計画では年間5-10例で症例を集積する予定であり、予定以上の11例が登録され順調に症例集積が蓄積している。 検討2に関して、有害事象として11例中5例に有症状の放射線肺臓炎が得られており、検討1におけるDNA損傷との関係を今後検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定集積のペースを満たす症例を集積できており解析も順調に経過している。 引き続き症例登録を進め有害事象予測モデルの構築を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
さらに症例集積を行い、有害事象と血液検体の染色体異常のデータを蓄積する。 並行して下記の研究計画書に記載の検討3、4に関する解析を行う。 ●検討3. 有害事象及び治療効果を予測する評価指標の確立:検討1における染色体異常やガンマH2AXフォーカスの経時的変化から放射線高感受性の群と抵抗性の群に分類し、検討2における有害事象の程度及び治療効果成績の比較を行う。 ●検討4. 臨床因子、画像因子との統合解析:検討3における評価指標に加えて、年齢、性別、肺機能、腫瘍体積、病期といった臨床的因子、DVHや人工知能を用いた画像解析による物理学的因子を加えた統合解析を行う。具体的には、放射線食道炎、放射線肺臓炎のリスクに関して、検討3によって得られた放射線感受性による有害事象のリスクをスコア化し、それに加えて臨床的因子によるスコア、物理学的因子によるスコアをそれぞれ計算する。予測精度に応じて各スコアに重み付けを行い、それらを合算することで総合的なリスクスコアを計算し、各々の有害事象に対してリスクスコアに基づく発症確率を計算する。同様に治療効果に関しても各因子から再発リスク、生存リスクの評価を行う。
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