研究課題/領域番号 |
23K14908
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 茨城県立こども病院(小児医療・がん研究センター) |
研究代表者 |
星野 雄介 茨城県立こども病院(小児医療・がん研究センター), 小児医療研究部門, 研究員 (00867195)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 肺超音波検査 / 呼吸窮迫症候群 / サーファクタント / 肺超音波検査スコア / 早産児 / NICU |
研究開始時の研究の概要 |
呼吸窮迫症候群はサーファクタント欠乏が原因であるため、本邦では診断症例にサーファクタントを投与する管理が一般的です。近年欧米よりサーファクタント投与の判断に肺超音波検査を活用した研究が報告されていますが、本邦と欧米でサーファクタント投与基準が異なるという背景から、本邦では肺超音波検査はあまり普及していません。 本研究では呼吸窮迫症候群が疑われた症例に肺超音波検査を行い、サーファクタント投与の目安となる肺超音波検査の所見を明らかにします。本邦の管理に準じた症例を対象にすることで、今後は肺超音波検査を活用して呼吸窮迫症候群を発症した症例に、適切な治療介入をすることが可能になります。
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研究実績の概要 |
茨城県立こども病院において、生後に呼吸障害を伴う症例に肺超音波検査を行い、サーファクタント投与を予測するための肺超音波検査スコアのカットオフ値を検討した。入院時に呼吸障害を有する在胎37週未満の早産児77例を解析対象とした。欧米ではヨーロッパのガイドラインに準じて①持続陽圧呼吸下で吸入酸素濃度30%以上の酸素需要がある、もしくは②重度の呼吸障害のために気管挿管を要する場合にサーファクタントを投与することが推奨されている。しかしその方法では呼吸窮迫症候群の診断に基づいていないため、本研究ではマイクロバブルテスト・胸部X線検査および臨床症状から呼吸窮迫症候群と診断された症例にサーファクタントを投与した。 肺超音波検査にはFujifilm 製Sonosite M-turbo、高周波リニアプローベ(6~13MHz)を使用し、プリセットは表在モード、深度は3cmに設定し、フォーカスは胸膜の高さに合わせた。左右の前上胸部・前下胸部・側胸部の合計6 か所で肺超音波検査を行い、「Aライン」「Bライン」「white lung」「consolidation」の所見に基づき0~3点でスコアリングし、症例毎に合計0~18 点のスコアを算出した。 対象患者の在胎週数は中央値で30.6週[27.9~33.0]、出生体重は中央値で1,268g[852~1,687]であった。肺超音波検査スコアによるサーファクタント投与はArea under the curve0.971(95%信頼区間0.937~1)で予測可能であり、カットオフ9点で感度85%、特異度96%、陽性的中率92%、陰性的中率93%であった。肺超音波検査はサーファクタント投与の予測に有用であると考えた。 今後はさらに症例を蓄積し、解析を深めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が所属する施設で順調に症例を登録し、現時点での解析では仮説通りのデータが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究機関で登録できた症例の内訳をみると軽症例が多く、在胎28週未満の超早産児の症例はまだあまり集まっていない。理由として、そのような超早産児は勤務時間外に発生することが多く、本研究では平日の日勤帯の入院のみを対象にしたことが制限になっていると考える。そのため院外の施設でもデータ収集を依頼し、そのような重症患者の症例登録数を増やしていく。 今回は全登録患者におけるサーファクタント投与群・非投与群の比較であったが、在胎週数(28週未満、28-31週、32週以降)や呼吸補助の違い(人工呼吸器管理、非侵襲的呼吸管理)で分けた解析も行う予定である。
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