研究課題/領域番号 |
23K14910
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
常田 慧徳 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80944868)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 拡散テンソル画像 / 肥大型心筋症 / MRI / ガドリニウム造影剤 |
研究開始時の研究の概要 |
病理学的所見でみられる錯綜配列は肥大型心筋症に特徴的であり、心筋細胞の配列に着目した画像診断を確立できれば、肥大型心筋症の診断に有用と考えられる。MRIでの拡散テンソル画像はその有望な候補であるが、細胞外間質の水分子からの信号の影響を大きく受けるため、真の心筋細胞の配列を反映できていないという問題があった。 本研究では、ガドリニウム造影剤の投与後に拡散テンソル画像を撮像することで、細胞外間質の影響を排除した真の心筋配列イメージングを行う手法を確立する。それにより、錯綜配列をターゲ ットとして、左室肥大疾患から肥大型心筋症を診断する新規の手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
拡散テンソル画像は、心筋細胞の配列を画像化することが可能であり、心筋症の新規診断手法として有望であるが、細胞間質の水分子からの信号の影響を大きく受けるという限界がある。本研究は、左室肥大を呈する疾患を対象として、ガドリニウム造影剤を用いて拡散テンソル画像を撮像することで、間質の影響を除外した新規イメージング手法を確立することを目的としてスタートした。 今年度は、当院のMRI装置に最適な拡散テンソル画像の撮像手法の検討にまず着手した。拡散テンソル画像の撮像手法には、いくつかの種類があり、それぞれメリット・デメリットがある。それぞれの撮像手法を用いた今後の研究の実行可能性についてファントムを用いた予備実験を行い、最適な撮像手法を決定した。次に、この撮像手法の中で最適なパラメータを探索し、安定して撮像できるパラメータの候補を選択した。これにより、実際の患者やボランティアで撮像する準備が整った。 次に、ガドリニウム造影剤による信号変化をファントムで確認するため、使用予定の撮像手法・撮像パラメータを用いてガドリニウム造影剤を用いないファントムでまず予備実験を行った。次年度では、実際にガドリニウム造影剤を用いたファントムで実験を行う予定である。 これと並行して、当院の倫理審査委員会にボランティアおよび患者の撮像に関する審査を依頼しており、今年度末に研究実施の承認を得た。次年度始めから患者やボランティアのリクルートを開始し、実際の患者での症例集積を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度では、①当院のMRI装置に最適な拡散テンソル画像の撮像手法およびそのパラメータを決定、②当院での撮像手法を用いたファントムでのガドリニウム造影剤による信号変化の確認、③当院の倫理審査委員会の承認を得てボランティアおよび患者の撮像を開始、の3点を実施予定であった。 このうち、①の当院での拡散テンソル画像の最適手法・パラメータの調整が想定以上に難航し、複数回パラメータやシーケンスの変更が必要になったため、撮像手法・パラメータの設定の完了が今年度の終わりまで遅延した。その影響で、②③の当院でのファントム撮像や倫理委員会への申請も若干遅延している状況にある。ただし、ファントム撮像に関しては予備実験が終了した状態にあり、本撮像の準備をしている段階にある。また、倫理委員会での審査も今年度末に承認され、次年度からの登録開始を予定しているため、大幅な遅れではないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に実施予定であったガドリニウム造影剤を用いたファントム撮像を実施し、当院での拡散テンソル画像の撮像手法・パラメータを用いたガドリニウム造影剤による信号変化を確認し、造影剤濃度と信号変化との相関を検討する。 次年度から患者のリクルートが開始予定であり、実際の患者を撮像して症例数を増やしていく。患者に対しては、拡散テンソル画像から得られるパラメータの、造影剤による変化を確認する。また、拡散テンソル画像から得られるパラメータの変化量と、ECV(extracellular volume fraction)を含めた通常の心臓MRIで得られるパラメータとの相関を検討する。最終的な肥大型心筋症の診断能に関する検討は最終年度に行うことを想定しているが、ある程度リクルートがうまくいった場合は、preliminaryに検討することも考慮する。
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