研究課題/領域番号 |
23K14911
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
芳賀 喜裕 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10771488)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 水晶体被ばく / 末梢血管内治療 / 放射線被ばく防護 / 末梢血管治療 / IVR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、今までほとんど研究されていなかった末梢血管内治療に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばくの解明と、被ばく管理・防護の見直しを目的とする。国際放射線防護委員会(ICRP)が推奨する3mm線量当量が測定できる新型水晶体線量計と従来の個人線量計を用いて、末梢血管内治療における医療従事者の水晶体被ばくを多角的に評価し、被ばく線量管理の見直しを図る。また、新型リアルタイム線量計やウェアラブルカメラ、360度ビデオカメラといった最新機器を利用し、被ばく状況の把握と放射線防護方法を再検討・再構築を行う。 最終的に、末梢血管内治療に最適な放射線防護具の試作開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、新型水晶体線量計を用いて末梢血管内治療に従事する医療従事者の正確な水晶体被ばくの解明と被ばく管理・防護の見直しを目的とする。初年度は、末梢血管内治療と心臓血管内治療に従事する医療従事者の水晶体被ばく線量を長期的に比較評価した。法令では、1年間で50mSvもしくは5年間で100mSvとされている水晶体被ばくが、末梢血管内治療では平均28.8mSv/年(2名)、心臓血管内治療では平均5.5mSv/年(14名)、カテーテルアブレーションでは平均4.8mSv/年(5名)、構造的心疾患治療では平均13.5mSv(7名)となり、末梢血管内治療で最も高い結果となった。これは、法令の5年間で100mSvを1年平均した値(20mSv)よりも高く、次年度以降も継続評価が必要と考える。また、該当年度は、科研費研究(20K16686)で試作した放射線被ばく防護具を利用し、末梢血管内治療に従事する医師の防護効果の検討を行った。1ヶ月ごとに防護具の内側と外側に新型水晶体線量計を取り付け、1年間継続的に評価した。防護具の外側は平均4.7mSv/月で、内側は1.0mSv/月となり防護効果は77.6%となった。この防護効果は、市販されている鉛当量0.07mmの放射線防護眼鏡の防護効果(60%程度)よりも高い防護効果となり、末梢血管内治療に有用な防護具と判断できた(Haga Y, et al. Sci Rep. 2017, 7(569))。しかし、防護具内部の被ばく線量は、1年間で12mSvであり、1年間平均の線量限度(20mSv)の6割となりため、次年度は更なる被ばく低減対策の検討する予定である。以上の結果は、当該年度に学会発表を行なった。次年度は、1検査ごとの水晶体被ばくを詳細に再解析を行い、論文発表等を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、末梢血管内治療を含む血管内治療に従事する医師の水晶体被ばくの測定を行い、末梢血管内治療時の水晶体被ばくが高いことを明らかにした。また、試作防護具を使用して防護効果についての測定を行い、その結果を学会で発表した。以上より、本研究は概ね順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当該年度に末梢血管内治療に従事する医師の水晶体被ばくが高いことを確認したが、法令の5年間で100mSvを1年平均した値(20mSv)よりも高い結果となったため、次年度以降も継続評価して評価を行う。また、実際どのような手技で被ばくしているかを1検査ごとに詳細に評価する予定である。加えて、被ばく関連の危険因子についても集計し、被ばく要因について検討する。また、当該年度に評価した防護具の改良と追加防護具の開発行い、1年平均の半分以下(10mSv)まで放射線被ばくを低減することを目標に検討する。
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