研究課題/領域番号 |
23K14936
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
和田 陽一 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (60843670)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ポンペ病 / 交差反応性免疫物質 / 迅速検査法 |
研究開始時の研究の概要 |
ポンペ病は、ライソゾーム内のグリコーゲンを分解する酸性αグルコシダーゼの欠損を原因とする先天代謝異常症である。近年、酵素補充療法によって重症型である乳児型ポンペ病の生命予後は著しく改善したが、交差反応性免疫物質(CRIM)が陰性の症例では中長期的な予後は不良である。CRIM陰性例では免疫寛容導入療法を酵素補充療法導入時に併用することで予後が改善することが知られているものの、CRIMの評価には時間を要するため、免疫寛容導入療法を適切なタイミングで開始できない可能性がある。本研究では、免疫寛容導入療法の必要性を迅速に判定するためのCRIMの測定方法を確立することを目的とする。
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研究実績の概要 |
ポンペ病とは、ライソゾーム内のグリコーゲンを分解する酸性αグルコシダーゼ (GAA) の欠損を原因とする先天代謝異常症である。発症時期によって乳児型ポンペ病 (IOPD) と遅発型ポンペ病に分けられる。無治療のIOPDは、乳児期に全例が死亡する重症型であるが、酵素補充療法 (ERT) によって、短期的な生命予後は著しく改善した。しかし、一部の症例では中長期的にERTの有効性が低下して予後が悪化していくことが知られている。現在知られているIOPDの予後決定因子は交差反応性免疫物質 (CRIM) であり、CRIMが陰性の場合は酵素製剤が免疫原性物質となってしまうため、免疫反応により酵素製剤が排除されて効果が低下していくと想定されている。CRIM陰性のIOPDに対しては生後1か月以内にERT開始と同時に免疫寛容導入療法が行われると生命予後が改善するとされているが、現在の標準的なCRIMの測定法である皮膚線維芽細胞を用いたウェスタンブロット法は1か月以上を要すること、遺伝子解析によるCRIMの判定が困難な場合には、適切な時期にCRIMの評価ができない可能性がある。そこで申請者はProximity Ligation Assay (PLA) 法を用いた迅速なCRIMの測定方法を開発している。 今年度はProof-of-conceptを確立するために、市販の抗GAAモノクローナル抗体に対して、本測定系に特異的となるオリゴDNAをコンジュゲートさせた。さらにコンジュゲートさせたオリゴDNAをテンプレートとしてqPCRを用いた検出系を検討し、微量なオリゴDNA濃度においても段階的に検出することが可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CRIMはポンペ病におけるGAAの一部または全てであるが、具体的にどの部分のアミノ酸配列であるかは同定されていない。したがって、スタンダードサンプルの設定においては、標準的な方法とされている皮膚線維芽細胞を用いたウェスタンブロット法において用いられている抗体を用いる必要がある。しかし、入手想定先における抗体のストックが切れて再作製の必要があるなど、いくつかの要因で当初予想されていたよりも抗体の入手に時間を要しているため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
もし抗体の入手が困難ということになれば、想定している研究の予定を変更することが必要である。標準的な抗体ではない別の抗体のみを用いたPLAによって、既知のCRIM陰性のIOPD症例の検体を用いて検討することによってアプローチすることが考えられるが、この代替案では症例数の集積が重要となるものの、国内にはCRIM陰性のIOPD症例が限られているため実現困難であり、国外の研究者と協力して検体を集める必要がある。引き続き標準となる抗体の入手に最善を尽くしつつ、国外の研究者とのコラボレーションも視野に入れる。また、本研究はあくまでCRIMの迅速測定系を確立することが目的であることから、PLA以外の方法によっても可能性がないかどうか再検討していく。
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