研究課題/領域番号 |
23K14938
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩澤 伸哉 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (30843627)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 先天性心疾患 / 精神発達遅滞 / 遺伝子解析 / Congenital Heart Disease / Genome Sequencing |
研究開始時の研究の概要 |
先天性心疾患は出生あたり約1%発症し、最多の先天性疾患である。先天性心疾患発症の多くは環境要因の影響が強いと考えられており、遺伝的な要因の検討は、十分に行われていない。近年、先天性心疾患発症関連遺伝子の報告が散見されるようになり、大きな進展が期待されている。 本研究は心臓・神経系の発生に異常をきたす新しい遺伝子異常を同定し、その病原性解析を行うことを目的としている。この結果、全く新しい先天性の心臓・神経疾患という疾患概念を提起できる可能性がある。また、原因遺伝子の同定と機能解析はその症例の病態解明の他、類似したより一般的な疾患の病態解明や新規治療法の開発につながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
先天性心疾患は出生100人につき1人が罹患していると報告されている頻度の高い疾患である。また、精神発達遅滞を合併することも多い。しかし、その発症原因の多くは明らかではなく環境要因が多いと考えられていた。 本研究では先天性心疾患の発症要因として遺伝子変異が関与している可能性を検討するために、宮城県立こども病院および東北大学病院の先天性心疾患を有する患者から遺伝し検体を収集し、解析を行うこととした。 重症の先天性心疾患のひとつである総動脈幹症の患者11人中7人に発症に関与していると考えられる遺伝子変異を確認した。その内訳は膜タンパク TMEM260 の遺伝子変異の一つであるc.1617delのホモ接合性変異が3人、複合ヘテロ接合性変異が2 人、その他の遺伝子異常(GATA6、NOTCH1)が2人であった。 東北大学東北メディカル・メガバンク機構が日本人一般住人集団 54,302人を対象に全ゲノム解析を行った結果 (54KJPN)を基にすると、日本人の約 0.7%がTMEM260 遺伝子の c.1617del 変異の保因者であることがわかり、ホモ接合性変異の患者だけで日本人総動脈幹症患者の約 26% を占めることが明らかになった。 日本人総動脈幹症患者の遺伝学的検査の重要性が明らかとなり、今後は TMEM260 の機能を明らかにすることで、治療へ応用できる可能性がある。また、他の重症先天性心疾患でも同様の高頻度遺伝子変異が存在する可能性もあり、今後の研究の進展が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先天性心疾患患者の遺伝子検体収集を宮城県立こども病院および東北大学病院に依頼し、検体収集は順調に進行している。また、重症先天性心疾患の一つである総動脈幹症の遺伝に検体を宮城県立こども病院および東北大学病院から収集、解析をした。その結果、膜タンパクTMEM260の遺伝子変異 の一つであるc.1617delを認めた。2024年2月13日付で遺伝学分野の学術誌Journal of Human Genetics に公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
総動脈幹症の患者検体から膜タンパクTMEM260の遺伝子変異 の一つであるc.1617delが総動脈幹症の発症に関与していることを報告した。先天性心疾患、特に精神発達遅滞がみられる先天性心疾患患者からの遺伝子検体を収集しており、さらなる解析を行うことで、これまで明らかではなかった、先天性心疾患の発症原因となる遺伝子変異の報告が可能になると考える。
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