研究課題/領域番号 |
23K14966
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
黒田 友紀子 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (40823589)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 5’末端非翻訳領域 / 5’-UTR / バリアント / 非翻訳領域 / 全ゲノムシークエンス / 次世代シークエンサー |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝性疾患は、遺伝子コード外の5-末端非翻訳領域(5-UTR)変異によって生じることが近年明らかになってきた。今回、5-UTR用の機能予測ツールを導入して、全ゲノムシークエンス解析による5-UTRの遺伝性疾患の同定を目指す。本研究により、探索的遺伝子解析において5-UTR変異を検出することが可能となる。そして、変異存在下でのタンパク減少を確認することで病原性の判定を行ない、変異タンパク解析によって疾患発症機序を明らかにする。5-UTR変異では遺伝子コード自体に変異はないため、変異タンパクを抑制することによって 正常タンパクの発現を促進できる可能性があり、治療への応用が期待される。
|
研究実績の概要 |
5’末端非翻訳領域(5’-UTR)は、mRNAに転写されるものの最終的にタンパクに翻訳(合成)されない領域で、遺伝子発現調節を担っている。5'-UTR変異は既存の解析パイプラインでは、候補の抽出と病原性解釈が困難であった。本研究により、5'-UTRに存在する疾患関連変異を検出するための解析体制の構築をすすめてきた。既存のエクソーム解析パイプラインにUTRannotatorを導入して5'-UTR候補変異を抽出できるように改良した。当施設で網羅的遺伝子解析を行った400症例以上の検体において、常染色体顕性遺伝形式をとる知的障害関連遺伝子に存在する健常人データベースに登録のないまれな変異(バリアント)を抽出した。抽出したバリアントに対して発端者とその両親でサンガーシークエンスを行なって両親にはない本人のみにおきた新生バリアント(de novo variant)を検出する計画である。同時に並行して、検出した5'-UTRバリアントの機能解析のためにルシフェラーゼアッセイの実験系を確立した。蛍光色素の発光強度を測定することによって、5'-UTR配列の変異が遺伝子発現量に影響するかどうかを測定できる手法である。既に知られている複数の5'-UTR変異を培養細胞に導入し、蛍光色素の発光強度を正確に定量することに成功した。変異を導入した細胞では、野生型と比較して蛍光強度がいずれも低下しており機能喪失に至っていることを確認した。今後当施設で検出したバリアントについてもルシフェラーゼアッセイによる機能解析を行う準備が整った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析パイプラインの改良が順調にすすんでおり、候補変異の抽出を既存の解析データより得ることができた。抽出された変異候補が予想以上に少なかったことから、抽出条件を緩和するなど再検討する必要があると考えている。予想以上に少ない理由として、エクソーム解析データであることから5'末端非翻訳領域(5’-UTR)の変異をすべて検出することが困難であることがあげられる。候補変異の機能解析(ルシフェラーゼアッセイ)は細胞密度、導入するベクター量などの複数の条件等を同時に行うことで予想よりも早期に実験系を確立することができたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
構築した解析パイプラインを活用して、既存のエクソーム解析データを追加して変異候補の抽出を継続する。また全5'-UTR領域を読み取ることが可能な全ゲノム解析を追加ですすめ、候補バリアントの検出をすすめていく。その後、条件設定が完了したルシフェラーゼアッセイを用いてバリアントの機能解析をすすめることとする。
|