研究課題/領域番号 |
23K14969
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
相澤 悠太 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90808453)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | パレコウイルス / 敗血症 / 新生児 / 早期乳児 / 疫学 / 臍帯血 / 中和抗体保有率 |
研究開始時の研究の概要 |
パレコウイルス-A3(PeV-A3)は、新生児・早期乳児に敗血症や髄膜脳炎などの重症感染症をきたす小児科領域で注目の新興感染症である。流行年が不定期で疫学情報が重要であるが、症例は国立感染症研究所や各地域からの報告にとどまっており、タイムリーには流行情報を得られない。本研究では、国内12か所、14施設において、新型コロナウイルス感染症流行で激減後に2022年に再興の兆しが見られ、今後も流行の可能性のあるPeV-3感染症の発生動向を継続的に探索する。さらに、全国各地の臍帯血におけるPeV-A3に対する中和抗体保有率を測定し、新型コロナウイルス感染症流行による感受性者増加の有無を評価する。
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研究実績の概要 |
パレコウイルスA感染症の流行調査については、127人が研究対象者となり、そのうちパレコウイルスA陽性が60人、エンテロウイルス陽性が13人であった。検出されたパレコウイルスAはすべて3型であった。パレコウイルスAが検出された地域は北海道から沖縄まで、九州・四国以外の地域で認められた。新型コロナウイルス感染症パンデミックに対する厳格な感染対策で減少していたパレコウイルスA感染症の感染者数が、感染対策の緩和に伴い増加する可能性を想定していたが、まさにその通りで、本研究の小児入院施設全国ネットワークで以前から継続していた入院患者数としては、新型コロナウイルス感染症パンデミック前の2019年の感染者数を超えて最多となった。新型コロナウイルス感染症パンデミックに伴いパレコウイルスA3感染者数が減少した時期に感受性者が蓄積し、母体からの移行抗体が減弱したことがその理由と考えられた。新型コロナウイルス感染症パンデミック前後のパレコウイルスA3感染症患者の臨床像を比較すると、日齢などの患者特性は変わらなかったが、敗血症の割合は減少した。しかし、集中治療室入室割合や脳炎の割合は同じであった。新型コロナウイルス感染症パンデミック後のパレコウイルスA3感染症の疫学変化について報告しているのは本研究だけであり、国内疫学に関する貴重なデータになっていると考えている。 初年度は、上記研究と並行して臍帯血の収集も行った。パレコウイルスA3に対する中和抗体価を測定して、新型コロナウイルス感染症パンデミックが与えた中和抗体保有率に対する影響を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各施設で本研究組み入れ基準該当者のチェックが行われ、組み入れ基準を満たした患者がいた際には随時検査ならびに臨床情報の収集が行われている。また、各施設とのコミュニケーションも良好に保てており、適宜各地の流行状況の情報共有と議論も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
パレコウイルス感染者数は新型コロナウイルス感染症流行後に最多となったが、この増加がまだ続くのか、新型コロナウイルス感染症前の毎年少数持続に戻るのか、それよりも前の2、3年ごとの流行に戻るのか、全国流行調査を継続してパレコウイルス感染症の疫学の変化を引き続き評価していく。 臍帯血については中和抗体価を測定し、先行研究のデータと比較することで新型コロナウイルス感染症パンデミックの中和抗体保有率への影響を評価する。
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