研究課題/領域番号 |
23K14974
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 高子 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60908721)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 急性肝不全 / 急性肝炎 / 小児 / シングルセルシーケンス / 小児急性肝不全 |
研究開始時の研究の概要 |
小児急性肝不全は、生存率50-70%と予後不良な疾患で、約半数が成因不明とされている。成因不明の中にも一部ウイルス性が含まれている可能性が指摘されている。小児急性肝不全の病態にはウイルスによる直接的侵襲の他、宿主の感受性や免疫応答が病態に深く関わっていると考えられる。本研究では次世代シーケンスを用い、これらのウイルス性肝障害の症例の蓄積を図るとともに、近年病態解明に応用されているシングルセルシーケンスを用い、血液中の全免疫細胞の遺伝子発現情報を細胞単位で解析し、他の成因による肝障害と比較することで、ウイルス性肝障害の背景にある免疫応答の異常を解明し、早期診断や、新規治療戦略の検索につなげる。
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研究実績の概要 |
小児急性肝不全の病態解明のため、小児急性肝炎および急性肝不全のウイルス定量PCR検査などを用いた起因ウイルス検索を行い、起因ウイルスが同定された症例の末梢血から分離された単核球を用い、シングルセルシーケンス解析を行った。 これまでに、研究の同意が得られた小児急性肝炎3例(EBウイルス2例、アデノウイルス1例)の末梢血単核球が収集され、内1例(EBウイルス)の急性期および回復期検体のシングルセルシーケンス解析を行った。対照として健常成人2例の末梢血単核球を用いたシングルセルシーケンスと比較検討した。解析を行ったのは計4サンプルで、1サンプルあたり、2,239ー3,403細胞の解析が可能であった。EBウイルス感染症に合併した急性肝炎症例の急性期検体では、TUBA1B+STMN1+CD8+T細胞クラスタの増大を認め、他の文献から、本クラスタは肝組織に由来する可能性が示唆された。また、本症例では、CD8陽性T細胞および単球でⅡ型インターフェロンシグナリングの活性化を認めた。 現時点では1例の急性肝炎症例の解析にとどまっており、他1例が現在外注でのシーケンス待ちである。他のウイルスに起因する急性肝炎や急性肝不全例での解析データとの比較検討が今後求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小児急性肝炎例の登録が3例あるものの目標数には達しておらず、小児急性肝不全例の登録が現時点でみられない。症例数が当初予定していた症例数には届いていないが、シングルセルシーケンスによる解析を行った全検体で一定数の末梢血単核球の解析が可能であることが確認された。今後の登録症例の解析につなげたい。
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今後の研究の推進方策 |
急性肝不全例の登録、解析のため、研究協力機関に本研究についてあらためて周知するとともに、収集された残る2検体の急性肝炎検体のシングルセルシーケンス解析を行い、病態の中心となっている免疫細胞および各細胞での遺伝子発現調節経路を検討する。得られた解析データをまとめ、学会発表および論文投稿をめざす。
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