研究課題/領域番号 |
23K14979
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浅野 孝基 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (50835501)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 高IgE症候群 / 原発性免疫不全症 / IL6ST / GP130 |
研究開始時の研究の概要 |
高IgE症候群(HIES)は黄色ブドウ球菌を中心とする細胞外寄生細菌による皮膚膿瘍と肺炎、新生児期から発症するアトピー性皮膚炎、血清IgEの高値を3主徴とする原発性免疫不全症である。IL6ST異常症は、HIESとして近年同定された疾患で、常染色体潜性(AR)、顕性(AD)の2病型がある。AR IL6ST異常症は機能喪失型IL6STのホモ接合性変異に起因する一方で、AD IL6ST異常症は優性阻害 (DN)効果をもつIL6STのヘテロ接合性変異により発症する。本課題では、変異の位置情報からDN効果の有無を判断するための指標の構築を試みる。加えて、本症の疾患概念の確立、病態解明も試みる。
|
研究実績の概要 |
高IgE症候群(HIES)は黄色ブドウ球菌を中心とする細胞外寄生細菌による皮膚膿瘍と肺炎、新生児期から発症するアトピー性皮膚炎、血清IgE の高値を3主徴とする原発性免疫不全症である。IL6ST異常症は、HIESとして近年同定された疾患で、常染色体潜性(AR)、顕性(AD)の2病型 がある。AR IL6ST異常症は機能喪失型IL6STのホモ接合性変異に起因する一方で、AD IL6ST異常症は優性阻害 (DN)効果をもつIL6STのヘテロ接 合性変異により発症する。本課題では、変異の位置情報からDN効果の有無を判断するための指標の構築、本症の疾患概念の確立、病態解明を試みた。
a) 網羅的機能解析によるLOF変異とDN変異の境界位置の同定、変異機能予測カタログ構築:自身が同定したDN変異で最もN末端に位置する変異(p.K702fs*7)と、AR病型の変異で最もC末端に位置する変 異(p.P498L)の間に両変異(DN or非DN)の境界があるとの仮説に基づき、両者間に位置するアミノ酸に対する網羅的変異解析を行った。LOF変異 とDN変異との境界点が640と641番目の間にあることを明らかにした。 b) AD-IL6ST異常症の臨床表現型と免疫学的病態の確立:今回、申請者は本邦初症例に引き続く合計2家系3患者のAD IL6ST異常症患者を同定した。両患者末梢血を用いたDeep Immunophanotypingは現在進行中である。 c)IL6ST異常症の分子病態の解明:本疾患のDN効果は細胞表面にGP130蛋白が蓄積することによることが報告されている。これまでの自身の研究結果から、このGP130のエンドサイトーシスには786-787番目のジロイシンモチーフが非常に重要であり、自身の患者変異ではこのジロイシンモチーフが壊されることでDN効果が増強されることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記に示したように実験は順調に進行し、現在論文投稿中である。今後残りの研究実験を進め本課題を完遂する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
①その他のHIES疾患との比較解析を通したHIESを呈する疾患群への理解の深化:AD-IL6ST異常症と同様の表現型を示すHIESとして、AD-STAT3- HIES のほかにAR-IL6ST異常症、AR-ZNF341異常症が知られている。現在行っている本疾患に対する免疫学的プロファイル評価と同様の手法で、これらの疾患群の臨床病型・免疫学的プロファ イルを検討し、HIESを呈する疾患群への理解を深める。加えて、該当患者の臨床情報を詳細に比較検討する。これらの検討は、HIESの各病型の 相違点を明らかにし、臨床症状や免疫病態への理解を確立すると同時に、HIESを呈する疾患の特徴の整理にも繋がる。 ②HIESの新規責任遺伝子の同定:本研究では、日本免疫不全・自己炎症学会を通じた広報によるHIES症例の収集を予定している。この中で、 全エクソーム解析もしくはパネルシークエンス検査を施行したもののIL6ST遺伝子を含めた現在知られているHIES責任遺伝子に変異を認めないH IES患者を対象に全ゲノム解析を試行する。全ゲノム領域を対象として変異検出を行うことで、より包括的にゲノム配列の変化を検出し、HIES の新規責任遺伝子の同定を試みる。 上記を行うことでこれまでの成果と合わせて本疾患の臨床像と分子病態を確立することを目指す。
|