研究課題/領域番号 |
23K14982
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
永井 隆 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20835582)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ACE2 / ERK経路 / 慢性腎炎 / メサンギウム増殖性糸球体腎炎 / レニン・アンジオテンシン系 / ERK / ACE2阻害薬 / ERK経路阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病は日本人の8人に1人が罹患する国民病である。本研究によりACE2およびERK経路を介した腎障害の進展メカニズムを解明し、さらに慢性腎炎モデルラットを用いてACE2阻害薬およびERK経路阻害薬による腎炎進展抑制効果を明らかにすることで、今後ヒトの慢性腎臓病への臨床応用につなげることができる。本研究を通して、将来的に慢性腎臓病の進行を防ぐ新たな治療法を確立することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、ACE2がERK経路を介して腎臓に及ぼす影響についての検証を行う。培養細胞を用いた実験により、ACE2とERK経路の関連性を明らかにした上で、動物実験として慢性腎炎モデルラットに与えるACE2阻害薬およびERK経路阻害薬がどのような効果を及ぼすかを検討することで、将来的にACE2およびERK経路に影響する薬剤をCKDの進行を防ぐ新たな治療の選択肢のひとつとして確立することを目的とする。ACE2およびERK分子が腎炎に及ぼす作用とその関連性はこれまでの研究の中で不明な点も多く一定の結論を得るに至っていないが、ACE2を含めたレニン・アンジオテンシン系およびERK経路は腎炎における重要な病態制御機構であると考えられており、ラット腎炎に及ぼす効果を立証することは将来的にヒトへの臨床応用につながると考えられる。当該年度はリアルタイムPCRおよびWestern blotting法を用いて培養細胞におけるACE2およびERKの発現検討を行い、培養ヒトメサンギウム細胞はTGF-β1の投与によってACE2の発現が抑制されること、IL-1βの刺激によってはERK1/2のリン酸化を伴ってACE2の発現が亢進し、ERK経路阻害薬によりリン酸化したERK1/2およびACE2の発現が抑制されることを明らかにした。メサンギウム細胞の増殖を伴う慢性腎炎におけるACE2とERK経路との関与を示唆する結果となり、メサンギウム増殖性慢性腎炎モデルラットに対するACE2阻害薬およびERK経路阻害薬投与が及ぼす効果の結果検証を期待しうるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画では培養細胞を用いた実験を行い、ACE2およびERK因子発現の有無を確認し、それらの関連性を検討することを主眼としていた。メサンギウム増殖性糸球体腎炎において病変の主座となるヒトメサンギウム細胞を用いた培養実験をすすめ、培養ヒトメサンギウム細胞における各因子の発現、サイトカイン添加による発現変化、阻害薬を用いた効果の検証をおおよそ順調に行うことができた。ACE2およびERK経路に関する各因子の発現を確認し、それらの関連性をあきらかにすることで、次年度につながる結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定に従って研究計画をすすめていく。メサンギウム増殖性慢性腎炎モデルラットを作成し、IF、WB、PCR法などにより腎糸球体および尿細管におけるACE2およびERK因子の発現を正常ラットと比較し検証する。また、腎臓から単離した糸球体を培養し培養液中でACE2阻害薬およびERK経路阻害薬を作用させ、糸球体の細胞増殖能がどの程度抑制されるかについてPCR法などを用いて評価する予定である。以上の実験をすすめた上で、メサンギウム増殖性慢性腎炎モデルラットにACE2阻害薬およびERK経路阻害薬を投与しそれぞれの腎炎抑制効果について評価する実験を計画している。
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