研究課題/領域番号 |
23K15024
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
荒瀬 吉孝 東海大学, 医学部, 講師 (40609228)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 原発性胆汁性胆管炎 / RANKL / RANK / デノスマブ / 骨粗鬆症 / OPG |
研究開始時の研究の概要 |
Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand(RANKL)は破骨細胞の形成、活性化に関わる膜型サイトカインである。近年、原発性胆汁性胆管炎(PBC)患者の肝組織ではRANKLとその受容体であるRANKが高発現していることが報告され、さらに、RANKL遺伝子がPBCの新規リスク遺伝子座に近いこと、抗RANKL抗体であるデノスマブが遺伝子学的にPBCの治療薬候補として挙げられるなど、RANK/RANKLシグナルとPBCの関わりが示唆されている。 本研究では、RANK/RANKLシグナルがPBCの病態にあたえる影響について包括的な解明を進める。
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研究実績の概要 |
Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand(RANKL)は破骨細胞の形成、活性化に関わる膜型サイトカインである。近年、原発性胆汁性胆管炎(PBC)患者の肝組織において、RANKLとその受容体であるRANKの発現が他の肝疾患よりも有意に高いことが報告された。また、遺伝子学的解析からの新たな知見により、PBCの発症、進展におけるRANK/RANKLシグナルの関与が示唆され、この系を標的としたPBC治療戦略に新たな展開が期待されている。本研究の目的は、PBCの病態におけるRANK/RANKLシグナルの役割を包括的に解明することを目的とする。 本研究では、肝組織におけるRANK/RANKL発現量と各種パラメーターとの関連性の解析(検討1)とデノスマブ投与によるRANK/RANKL発現量ならびに肝病態の変化の解析(検討2)の二つを並行して進めている。検討1では、PBC診断時の既存肝組織標本において、抗RANKL抗体、抗RANK抗体を用いて免疫組織染色をおこない、門脈域でhigh-power field(HPF)にて陽性細胞をカウントした。PBCでは他の慢性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎)に比して、RANKおよびRANKL陽性細胞数が多い結果が得られた。また、RANK/RANKL陽性細胞数と肝機能関連値に正の相関があることを確認した。一方で、免疫学的項目との相関は認めなかった。症例数を増やして解析中である。検討2では、臨床病理学的にPBCと診断された新規症例を前向きに集積しており、これまでに9例が登録された。骨粗鬆症を合併している症例では、デノスマブを6ケ月に1回皮下注射をおこなっている。登録症例は順調に経過を追えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PBC、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎の肝組織におけるRANK/RANKL/OPGの免疫染色と各種パラメーターとの関連性の解析が進行している。また、新規のPBC症例が集積され、骨粗鬆症合併例に対するデノスマブの投与も開始されている。
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今後の研究の推進方策 |
検討1では、さらに多くの既存標本を集積して、RANK/RANKL発現量と各種パラメーターとの関連を解析し、他の肝疾患と比較する。また、RANK/RANKL陽性細胞数と、ウルソデオキシコール酸やベザフィブラートに対する治療反応性、肝関連イベント発生率、累積生存率の違いについても明らかにする。検討2では、新規PBC症例を同意のもとに登録をすすめ、治療開始前と1年後の肝組織におけるRANK/RANKL陽性細胞数や肝機能関連値の変化について、デノスマブ投与群と非投与群で比較をおこない、差異を明らかにする。
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