研究課題/領域番号 |
23K15034
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大澤 まみ 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20964513)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肝がん / 腫瘍再増殖 / エクソソーム / 細胞外小胞 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍再増殖(Tumor Repopulation:TR)はがん放射線治療後や化学療法の休薬期間中に腫瘍組織が再び増大する現象の呼称である。 本研究では申請者が見いだした化学療法休薬中のがん細胞が、uPA/uPARを含有する細胞外小胞を分泌する原因を解明し、uPAを介したTR促進機序と予防法を明らかにする。さらにリン酸化蛋白を網羅的に解析してuPA以外のTR促進因子も探索する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、エクソソーム内部のurokinase-type plasminogen activator (uPA)経路を含む腫瘍再増殖(tumor repopulation:TR)促進因子に着目した抗がん剤治療における肝がんTR予防法の確立である。当該年度はDNA傷害後の肝がん細胞エクソソームによるTR現象の原因を探索した。 具体的には肝がん細胞株HepG2細胞を用いて(1)抗がん剤シスプラチン処理後上清のエクソソーム分泌量・細胞増殖能の探索、(2)シスプラチンとuPA阻害剤を含む様々な阻害試薬を併用した上清の細胞増殖能の探索、(3)シスプラチン処理後上清のエクソソーム内蛋白の探索をおこなった。 検討の結果、(1)シスプラチン処理後上清のエクソソーム粒子濃度は約1.2倍に増加していることが明らかになった。またシスプラチン処理後上清からエクソソームを除去した場合、除去前に認めた1.9~2.5倍の増殖活性が認められなかった。以上より、DNA傷害後の肝がんTR現象にはエクソソームが関与することが示唆された。(2)シスプラチンと種々の阻害試薬を併用した上清の増殖活性はuPA阻害剤との併用で約0.8倍に、分裂促進因子活性化蛋白質キナーゼJun amino terminal kinase (JNK)阻害剤との併用で約0.5倍に抑制された。本検討ではJNK阻害剤との併用で最もTR現象を抑えることができた。(3)シスプラチン処理後上清エクソソーム内の蛋白をウエスタンブロッティング法で調べたところ、2倍以上のリン酸化JNKやuPA受容体が含まれていることが明らかになった。これらの結果よりDNA傷害後の肝がんTR現象にはエクソソーム-JNK-uPAが関わる可能性が示唆された。 当該年度の結果を踏まえて、次年度はJNK-uPA経路をさらに探索するとともにuPA以外の因子についても調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は(1)抗がん剤シスプラチン処理後上清のエクソソーム分泌量・細胞増殖能の探索、(2)シスプラチンとuPA阻害剤を含む様々な阻害試薬を併用した上清の細胞増殖能の探索、(3)シスプラチン処理後上清のエクソソーム内蛋白の探索の3つを行った。検討の結果、DNA傷害後の肝がんTR現象にはエクソソーム-JNK-uPAが関わる可能性を見いだせたため、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はDNA傷害後の肝がんTR現象を誘発する液性因子やシグナル経路の探索をさらに進めていき、TR現象の標的となる因子の輪郭を明らかにする。また、標的因子の阻害剤存在下でシスプラチンを添加し、その上清のエクソソームを用いて、標的因子の下流シグナル経路の解析も進めていく。研究成果は学会発表や学術論文の投稿を行うことで公表する予定である。
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