研究課題/領域番号 |
23K15037
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横山 晋也 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10885396)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 肝硬変 / 門脈血栓症 / 肝線維化 / プレバイオティクス / 腸内細菌 / 門脈圧亢進症 |
研究開始時の研究の概要 |
近年肝硬変における門脈血栓症では.単純なフィブリン血栓のみならず門脈内皮の炎症や線維性肥厚を合併して門脈内腔の狭窄を伴うことが分かり,門脈そのものの血管病変が根底にある可能性が示された.Streptococcus属は腸管透過性の亢進を来たし,腸管内から門脈内へのlipopolysaccharideの移行に関与しており,血管内のエンドセリンの上昇を引き起こし,血管収縮作用のほか血管壁へのダメージを惹起する.本研究では同属の細菌と門脈圧亢進症や門脈内皮の線維性肥厚の関連性,さらにプレバイオティクスを用いて同属の細菌を減少させることによる門脈への影響を解明し新規治療開発の礎とする.
|
研究実績の概要 |
近年肝硬変における門脈血栓症では単純なフィブリン血栓のみならず門脈内皮の炎症や線維性肥厚を合併して門脈内腔の狭窄を伴うことが分かり,門脈そのものの血管病変が根底にある可能性が示された.Streptococcus属は腸管透過性の亢進を来たし,腸管内から門脈内へのlipopol ysaccharideの移行に関与しており,血管内のエンドセリンの上昇を引き起こし,血管収縮作用のほか血管壁へのダメージを惹起する.本研究 では同属の細菌と門脈圧亢進症や門脈内皮の線維性肥厚の関連性,さらにプレバイオティクスを用いて同属の細菌を減少させることによる門脈への影響を解明し新規治療開発の礎とする. 本研究の目的は,第一ステップとして肝硬変に伴う門脈血栓症の疾患概念として重要な門脈内皮の炎症および線維性肥厚と,その背景にある門脈圧亢進症と腸内Streptococcus属の細菌の増加との関連性およびそのメカニズムを解明することである.第二ステップではプレバイオティクスを用いてStreptococcus属の細菌を減少させる介入を加えることによって,門脈内皮の炎症,線維性肥厚および門脈圧亢進症に与える影響を明らかにすることである.肝硬変患者における門脈内皮の炎症や線維性肥厚の発症メカニズムを明らかにすることで,エビデンスが確立していない,肝硬変に伴う門脈血栓症に対する予防治療,抗凝固薬の代替治療や抗凝固薬による治療効果を向上させるための併用薬および門脈血栓症 の背景にある門脈圧亢進症に対する従来にない治療法の開発の礎になると考えた. 現在四塩化炭素を用いた肝硬変マウスモデルの作成を行っている.肝硬変モデルマウスに対して,今後プレバイオティクスによる門脈の炎症や肝線維化への改善効果を見ていきたい.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手始めに8週齢のC57BL/6Jマウスに対して四塩化炭素投与による肝硬変モデルの作成を行っている.当初CCL4の腹腔内投与によるモデル作成を試みたが,この場合,腹腔内の炎症が惹起され,癒着を生じたため門脈本幹からの血液検体の採取が困難であった.そこで背部からCCL4の皮下注入によるモデル作成を行うこととした.既報に準じてCCL4を投与しているが,想定より肝の線維化の程度が軽度であり,CCL4の投与頻度や1回あたりの投与量を調節しながら,適切なモデルとなるように調整を行っている.
|
今後の研究の推進方策 |
肝硬変モデルが完成したら,プレバイオティクスによる腸内細菌叢の改変による肝硬変改善効果が認められるか検証を行う.その後ヒトの腸内フローラを模した環境でのプレバイオティクスの効果を検証するため,段階的に腸内細菌のdepletionを行った上で糞便移植を行ったモデルでも実験を行う.腸管透過性を評価する際には培養細胞を用いた実験を行うことも検討している.
|