研究課題/領域番号 |
23K15052
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
田島 知明 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (80974328)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ゲル / ゲル浸漬下内視鏡切除 / 浸水下内視鏡切除 / 内視鏡的粘膜切除術 / 内視鏡的粘膜下層剥離術 / 消化管腫瘍 / 消化管 / 内視鏡治療 |
研究開始時の研究の概要 |
消化管腫瘍に対する内視鏡的切除は、外科手術と比較し侵襲性の少ない治療として本邦を中心に発展したが、患者の高齢化や、その適応の拡大を背景に、より低侵襲な技術の開発が最重要課題である。本研究では、 1.内視鏡用視野確保ゲルを用いた新規内視鏡治療の確立と最適使用・至適臓器の探索 2.ゲル浸漬下内視鏡切除法と従来の内視鏡切除法との比較解析 - 有効性の検証 3.内視鏡用視野確保ゲル使用に関連する副作用の分析 - 安全性の立証 を実施することで、新たな治療技術の開発および治療戦略構築に寄与することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、消化管腫瘍に対する内視鏡切除術の際に内視鏡用視野確保ゲルを用いることで、ゲルの使用が治療中の内視鏡視野の向上とともに、内視鏡の操作性の向上および患者の苦痛軽減(鎮静剤使用量の低減)へ寄与するかを検証し、“ゲル浸漬下内視鏡切除術”という新たな低侵襲治療法を確立することを目的としている。現状、消化管腫瘍の内視鏡切除において、ゲル浸漬単独での内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を38例(内訳:食道28例, 十二指腸10例)、浸水下におけるESDにゲルを併用した治療を15例(内訳:胃2例, 十二指腸3例, 結腸直腸10例)の合計53例に行った。その結果、9割以上の症例でゲル使用による内視鏡視野の改善効果が確認された。有害事象は1例も認めていない。さらにCO2送気下に行う通常の内視鏡切除術と比較し、浸水下やゲル浸漬下では腸管が虚脱することで、腸管内圧の上昇が抑えられるため患者の苦痛の訴えも少ない印象であり、治療における鎮静剤の使用量も低減できている。上記、ゲル浸漬下内視鏡切除術の実施症例の中で治療困難性の克服にゲルの使用が有効であった症例について報告した(食道:Endoscopy, 2024. 胃:Endoscopy, 2023. 十二指腸:Progress of Digestive Endoscopy, 2023.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ての消化管臓器(食道・胃・十二指腸・大腸)においてゲル浸漬下内視鏡切除が有効であった症例に関する論文報告を行い、計3編が国際誌に掲載された(Endoscopy,2023:1編. Endoscopy,2024:2編)。さらに、複数の所属学会(日本消化器病学会,日本消化器内視鏡学会, 日本消化管学会など)や研究会等において研究成果を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、ゲル浸漬単独で行う内視鏡的粘膜下層剥離術を中心に行った。しかし、ゲル単独の場合、ゲルの消費量増加に伴う治療コストの上昇という懸念点が生じた。普及する治療法の開発のためには、治療にかかるコストの削減は重要な課題と考えられる。そこで次年度は、ゲル浸漬単独の手法は用いず、主に浸水環境下で内視鏡切除を行い、その際の内視鏡視野改善目的に補助的に必要最小限のゲルを用いる手法を主に行い、治療コストの低減を図る。さらにその手法の実践に最適な機器のセッティングの開発や、治療自体の安全性および有効性を具体的に評価する。
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