研究課題/領域番号 |
23K15062
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松本 諒太郎 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40963830)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 膵癌 / 酸化ストレス応答機構 / Keap1-Nrf2経路 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化ストレス応答機構であるKeap1-Nrf2経路の活性化は様々な癌種において抗癌剤に対する細胞保護機構として機能している。Nrf2発現は膵癌の進展や抗癌剤耐性に寄与しており、膵癌におけるNrf2の発現低下は代謝酵素の発現変化を介して抗癌剤感受性を亢進させる。一方でNrf2過剰活性化と変異K-rasを伴う膵癌は代謝リプログラミングによりアミノ酸枯渇に脆弱となり、Nrf2の活性化を利用した細胞死誘導が新たな治療戦略となる可能性が示唆された。 本経路を標的とした新規膵癌治療の実現のためにNrf2活性化レベルを推し量る手段の開発が望まれ、その新規バイオマーカーの探索を行うことを本研究の目的とする。
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研究実績の概要 |
酸化ストレス応答機構であるKeap1-Nrf2経路の活性化は様々な癌種において抗がん剤に対する細胞保護機構として機能している。Nrf2発現は膵癌の進展や抗癌剤感受性に寄与しており、膵癌におけるNrf2の発現低下は代謝酵素の発現変化を介して抗癌剤感受性を亢進させる一方で、Nrf2過剰活性化と変異K-rasを伴う膵癌は代謝リプログラミングによりアミノ酸枯渇に脆弱となり、Nrf2の活性化を利用した細胞死誘導が新たな治療戦略となる可能性が示唆されている。本研究の目的は膵癌の新規治療法開発の基礎を築くことであり、膵癌におけるNrf2活性化レベルを推し量る手段の開発を目的としている。 2023年度はまず、当教室で診療を行った膵癌患者を対象にヒト膵癌症例における血清収集を進めた。既に樹立済みの野生型KPCマウス由来膵癌細胞株、Nrf2欠損KPCマウス由来膵癌細胞株、Keap1欠損・Nrf2+/-KPCマウス由来膵癌細胞株など、Nrf2活性化レベルが異なる膵癌細胞株を用いて遺伝子発現プロファイルの比較検討を行う予定としていたが、最終的な目的がヒト臨床検体における新規マーカー発現の検出であることから、ヒト膵癌細胞株における検討を並行して行うこととした。Nrf2が過剰発現した膵癌細胞株ではマウス膵癌細胞株、ヒト膵癌細胞株ともK-ras変異を伴うことでアミノ酸枯渇に脆弱となることは当教室の先行研究で報告した通りであるが、ヒト膵癌細胞株における薬理的なNrf2阻害処理が細胞機能に及ぼす影響について現在も検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験棟の移転作業に伴いマウスの交配を一時的に停止せざるを得なかった他、2023年度の後半は臨床業務にエフォートの大半を割かれることとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
Nrf2活性化、Nrf2阻害処理がヒト膵癌細胞株の細胞機能に与える影響について、マウス膵癌細胞株と同様の結果を示すことを確認する。そのうえでマウス膵癌細胞株やヒト膵癌細胞株に共通して起こる遺伝子発現プロファイルの変化について網羅的解析を行い、新規マーカー候補を抽出する。
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