研究課題/領域番号 |
23K15072
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中村 由子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (40867256)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | NASH肝がん / B細胞活性化因子 / 肝癌 / 微小環境 / BAFF / MDSC |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は脂肪性肝疾患の治療戦略となる病態の中で肝発癌に照準を当て解析することを目的とする。今回の研究では、BAFFのNASH由来肝発癌への役割と腫瘍免疫への影響を動物モデルや細胞を用いて明らかにする。以下を立案している。1:ノックアウトマウスを用いたBAFFによるNASH肝発癌への影響と機序の解析、2:BAFFを介したNASH肝癌に関わる免疫担当細胞の解析、3:他のモデルマウスや治療介入による検証、4:臨床検体を用いた検証である。本研究では、脂肪性肝疾患に起因する癌治療へBAFFを臨床応用に展開する上での基盤となる研究成果が得られるものと考えている。
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研究実績の概要 |
本研究はNon-alcoholic steatohepatitis (NASH)から肝発癌に焦点をあて解析を行うことを目的とし、ヒトNASH肝がんに類似した病態をもつモデルマウス作成の必要がある。コントロールマウスであるC57BL6/Jと、BAFF欠損マウスを用いてまずはNASH肝がんモデルマウスを作成した。生後6週齢から高コレステロール含有高脂肪フルクトース添加食で飼育開始、また生後6週齢から週1回、四塩化炭素(0.2μL/g)を腹腔内に24週間投与しNASH肝がんモデルを得た。 得られたマウスの肝重量は、BAFF欠損マウスでコントロールマウスよりも大きい傾向であったが有意差は認めなかった。肝HE染色で、BAFF欠損マウスでは炎症を表すCrown-like structureが有意に少なく、肝臓TNFαやIL-6、MCP-1といった炎症に関与するmRNAの発現も有意にBAFF欠損マウスで低かった。次に肝線維化についても検討した。TGFβ-1やCol-1a1などの肝線維化に関与するmRANの発現も炎症と同様にBAFF欠損マウス肝臓で有意に低かった。 次に肉眼的発癌状況について検討した。24週齢時点で、BAFF欠損マウスはコントロールマウスよりも肉眼的腫瘤合併率が低く(BAFF欠損マウスで10%、コントロールマウスで90%)、また合併腫瘤の個数が少なく、サイズが小さい(BAFF欠損マウスで5mm以上が10%、コントロールマウスで5mm以上の腫瘤が35%、5mm未満の腫瘤が55%)結果であった。 ヒト同様に炎症、線維化に続く発癌を模倣できているモデルであり、機序の解析を引き続き行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト類似のNASH肝がんモデルマウス作成がマウス繁殖含めて順調に進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き得られたサンプルの組織学的、遺伝子・蛋白レベルでの解析を行う必要がある。具体的には肝臓内の脂肪含有解析や、細胞周期に関係する染色の追加を行う。また、発癌・癌進行に関係する細胞周期、炎症、酸化ストレスなどといった発現に関してもin vivo で検証する。肝浸潤細胞の解析を行い、制御性T細胞やMDSCなどの抑制系細胞の関係も行う。 また、in vitroでの実験系も並行して行う必要がある。
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