研究課題/領域番号 |
23K15081
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
小田桐 直志 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10623241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / 分泌因子 / バイオマーカー / 可溶性免疫チェックポイント蛋白 / IL-8 / 肝星細胞 / 細胞老化 / 肝がん / 好中球 |
研究開始時の研究の概要 |
老化肝星細胞は、様々な分泌因子を介して免疫細胞を含む腫瘍微小環境に変化を引き起こし、肝がんの病態や治療効果に関与している可能性が指摘されている。本研究ではヒト肝星細胞の老化関連分泌因子であるIL-8に着目し、その生理的機能や肝がんに対する化学療法の減弱効果について解明することを目的としている。老化ヒト肝星細胞より分泌されるIL-8の生理学的作用を明確にするとともに、老化肝星細胞が肝がんの治療対象となることを示す。さらに実臨床での肝がん化学療法の治療成績や臨床データを解析する。以上により、肝がんにおけるIL-8の役割を明確にし、肝がん治療の開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
in vitroにおける解析としてIL-8が好中球に与える影響を解析するため、HL-60細胞を使用し、好中球への分化を誘導することで解析を行うことを考えた。HL-60の基本的培養条件を検討するとともに、好中球への分化誘導のため、ビタミンD3やPhorbol myristate acetate(PMA)による刺激を行い、遺伝子変動を確認した。SQSTM1の遺伝子発現は増加傾向が認められた。一方、IL-8受容体であるCXCR1・CXCR2の発現の変動を確認したが有意な変動は見られなかった。 また、肝細胞癌に対する免疫治療の臨床的検討については、アテゾリズマブ・ベバシズマブを導入した患者について臨床データの収集・解析を行った。血中可溶性免疫チェックポイント蛋白(sICP)の血中濃度と肝細胞癌患者における化学療法との関連性などにも着目し、治療開始前と治療開始後4-7日における血液検体を用いてsICPの血清中濃度を測定し、治療開始後早期におけるsICP濃度の変化とAtezo+Bevの治療効果や生存期間との関連について解析した。 最良治療効果がCR/PRの群は、SD/PDの群に比較して治療開始前のsBTLA濃度中央値が高かった(138.45 vs 106.11 pg/mL, p=0.022)。 治療開始前sBTLA濃度高値群は低値群と比較して無増悪生存期間(PFS)中央値が有意に長く(9.3 vs 4.2か月、p=0.003)、sBTLAはAtezo+Bevの治療効果や予後予測に有用な新規バイオマーカーとなる可能性が見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
老化肝星細胞の樹立やHL-60細胞の条件検討などに時間を要し、実験遂行に時間を要している。また、肝癌の新規免疫治療導入症例も想定ほど多くなく、さらなる症例蓄積が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
老化肝星細胞と肝癌細胞や好中球との相互作用について基礎的検討を継続する。また、免疫治療導入症例の症例蓄積と保存血清などの生体資料収集を継続し、臨床的データを継続して取得していく。
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