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癌悪液質評価マーカー・治療ターゲットとしての乳酸代謝物の有用性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K15084
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分53010:消化器内科学関連
研究機関順天堂大学

研究代表者

福嶋 浩文  順天堂大学, 医学部, 准教授 (80817099)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワード乳酸代謝物 / 悪液質 / 消化器癌 / 癌悪液質 / 腫瘍代謝 / 乳酸代謝酵素
研究開始時の研究の概要

がん悪液質はがん患者に多くみられる合併症の1つであり、特に進行消化器癌で高頻度にみられ、予後不良の要因となる。しかし癌悪液質に関しての詳細なメカニズムは不明な点が多く、有効な治療は確立していない。本研究では、癌代謝物の代表である乳酸に着目し、乳酸を基に合成される乳酸代謝物が癌悪液質や癌代謝や病態進展とどのように関係するかを解明する。乳酸代謝物や乳酸代謝酵素が新たな癌悪液質や癌そのものの治療ターゲットとなる可能性があり、本研究で得られる知見は多くの患者が苦しんでいる末期癌に対する新規治療薬開発の基盤となると考えられる。

研究実績の概要

癌患者にみられる合併症の1つである癌悪液質は生命予後の悪化に関連する因子として重要である。悪液質は炎症性サイトカイ産生やユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー・リソソーム系での蛋白分解の亢進,蛋白合成量の低下,脂肪酸酸化の亢進などが寄与すると考えられているが不明な点が多く、治療法に結び付く知見が少ない。乳酸代謝物Lac-Pheが食欲制御に関与することから、Lac-Pheが癌悪液質形成に密接に関与しているのではないかという仮説のもと研究を行っている。本研究の遂行のために① 癌患者の血漿中のLac-Phe濃度と癌悪液質の病態との関係の解明、 ② Lac-Phe合成酵素CNDP2欠損により癌悪液質の病態がどのように変化するかについての解析、 ③ Lac-Pheが癌細胞増殖・免疫細胞活性化・骨格筋に与える影響を明らかにすることをマイルストーンとしている。今年度は主に①②について研究を行った。①に関しては学内の倫理委員会の承認を得た上で消化器癌の患者血漿をサンプリングしている。現在、サンプリングした50検体の臨床情報(体重・筋肉量・脂肪量など)について収集するとともに、質量分析器によって血漿中Lac-Phe濃度を測定している。現時点までに終了している解析では 癌悪液質の患者では血漿中のLac-Phe濃度が増加する傾向にあることが分かった。また血漿中のTNFα、IL-1β、IL-6 濃度の測定を予定している。現在、少しでも臨床サンプルを増やすために①の研究を継続中である。②に関してはLac-Phe合成酵素CNDP2のノックアウトマウスを作成しているところで、2024年6月にノックアウトマウス完成予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在行っている①癌患者の血漿中の乳酸代謝物Lac-Phe濃度と癌悪液質の病態との関係については、現時点までに終了している解析結果より、癌悪液質の患者では血漿中のLac-Phe濃度が増加する傾向にあることが分かっている。解析データーの信頼性を高めるために本研究期間中に少しでも検体数を増やしているところであり、目標の100検体の半数を超えた状況である。一方で、血漿中のTNFα、IL-1β、IL-6濃度測定に関してはELISA法で解析する予定であり、使用キット数のことを考慮し、サンプル数が80以上集まったところで行うこととしている。② Lac-Phe合成酵素CNDP2欠損により癌悪液質の病態がどのように変化するかについての解析に関しては、CNDP2欠損マウス作成がもう少し早く可能となる予定であったが遅れている。CNDP2欠損マウスを作成したのちにPhenotype解析並びに腫瘍のXenograftモデル作成を行う方針である。以上のことから大きな障害がなく研究は進行しているが若干遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

①癌患者の血漿中の乳酸代謝物Lac-Phe濃度と癌悪液質の病態との関係についての研究に関しては、引き続き解析データーの信頼性を高めるために本研究期間中に少しでも検体数を増やすこととし、サンプル数が80検体近くになったところで、血漿中のTNFα、IL-1β、IL-6濃度測定を行うこととしている。一方、② Lac-Phe合成酵素CNDP2欠損により癌悪液質の病態がどのように変化するかについての解析に関しては、CNDP2欠損マウスが作成されたところでWild typeマウスとの発現形に差がないことを確認するとともに、乳酸産生膵癌細胞株や胃癌細胞株の腹腔移植モデルと皮下移植モデルを作成し、食事摂取量や骨格筋・脂肪組織の変化を解析する。またCNDP2欠損が腹水中のマクロファージや腫瘍の増大に影響を与えるかに関しても解析を行う。さらに腫瘍内や腹水中の老化細胞における発現遺伝子がCNDP2有無によってどのように変化するかを解析する。CNDP2欠損マウスが作成され実験が可能となるまでは、来年度に予定していた③Lac-Pheが癌細胞増殖・免疫細胞活性化・骨格筋に与える影響を明らかとするための研究(令和7年度予定)を前倒しして行うこととしている。Lac-Pheを腫瘍細胞株に添加し、細胞増殖の変化があるかをWST-1アッセイにて評価するとともにメタボローム解析やマイクロアレイ解析を行い腫瘍細胞においてLac-Pheが細胞内代謝や発現遺伝子にどのような影響を与えるのかを明らかにする予定である。さらにヒトマクロファージ細胞株にLac-Pheを添加し、エンドトキシン添加後のサイトカイン産生の変化や発現遺伝子解析を行い、エンドトキシン感受性が乳酸代謝物によって変化するかを明らかにするとともに、原因となった遺伝子群のマッピングを行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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