研究課題/領域番号 |
23K15121
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中田 貴史 東北大学, 大学病院, 助教 (70970474)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 虚血性心疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
心筋障害のバイオマーカーの普及により、心筋の酸素需要と供給のミスマッチにより生じるType 2の心筋梗塞(Type 2 MI)の存在が明らかになった。冠動脈内のプラーク破綻により生じるType 1 MIはカテーテル治療により予後改善が見込めるのに対し、心筋障害は小さいものの治療戦略の定まっていないType 2 MIは、その後の主要心血管イベント発生率が同等に高いことが報告されている。そこで本研究ではType 2 MI患者を対象に、1)統合的画像解析(冠動脈CT、心臓MRI)により冠動脈狭窄や心筋障害の有無を明らかにし、2)これらの患者を前向きに追跡し心血管イベント発生率を調査する。
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研究実績の概要 |
非心血管疾患に併発するType 2 MI患者は、現在の日常診療では診断自体が積極的に行われていないために潜在的にはより多くの患者が存在する可能性がある。また、もし診断が下されたとしても、原因となる非心血管疾患の治療に重きが置かれるため、その後の心血管疾患の精査に進む機会は少ない。そして、これまでこのような非心血管疾患に併発するType 2 MI患者を前向きに登録・追跡した研究報告はない。本研究では、救命救急センターに入院する患者全例にhsTn測定と心電図検査を行い、非心血管疾患に併発するType 2 MI患者がどの程度存在するかを前向きに調査するとともに、Type 2 MIと診断された患者において各種の画像診断をもとに冠動脈硬化と心筋障害の有無と程度を明らかにすることを目的とする。さらに、追跡調査を行うことでType 2 MI患者の冠動脈病変や心筋障害の程度が予後に与える影響を明らかにできる。当該年度においては、症例登録、スクリーニング検査項目などを救命センター内へ周知し、患者の登録を行った。具体的には、これまで入院時検査において心筋逸脱酵素の項目に関しては担当医の判断で必要に応じて追加していたが、本研究を開始するにあたり、入院を様子患者においては入院時の検査にて筋逸脱酵素を測定し、さらに12誘導心電図もスクリーニング検査として追加することにより、非心血管疾患で入院した患者において見逃しをなくすことを可能とした。さらに放射線科との連携を密に行うことで、冠動脈CT撮影可能な日程を増加したことで、精査をより簡便に行うことが可能な環境となった。引き続き日常診療に加え、患者のスクリーニング、患者登録、フォローアップを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は症例の登録基準としては①99パーセンタイル値以上の高感度トロポニン値の上昇、②心筋の酸素需給バランスの異常によると考えられる心筋虚血の兆候がある患者と定義し、除外基準としては①同意が得られない、②妊婦または授乳中、③Type 1 MIが疑われる患者、④腎不全(eGFR<30ml/min/1.73m2)、⑤重症の肝不全、⑥自力での移動が困難な患者と定義している。当救命センターは3次救急患者を主に受け入れており、全身状態不良な患者が多く、腎機能障害が認められる患者が多く、心筋梗塞を診断するための造影MRIを急性期にとることが困難となっている。また、重症患者ではリハビリ転院を要する例も多く、自力で外来通院できる患者も少なく当初の予定よりも登録基準を満たす患者が少なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
type2心筋梗塞患者の中には入院時の検査では心筋逸脱酵素の上昇が認められない患者も存在するため、入院後のフォロー検査においても心筋逸脱酵素のフォローアップを行い、type2心筋梗塞、または急性心筋障害などの患者のスクリーニングを強化する。また、リハビリ転院となるような患者においても、将来的に外来通院が可能となりそうな見込みのある患者に対しては積極的に外来精査を含めたフォローアップを提案していく。
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