研究課題/領域番号 |
23K15128
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田端 智香 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員 (30973094)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 心筋症 / iPS細胞 / 疾患モデル / ホスホランバン |
研究開始時の研究の概要 |
心筋細胞のカルシウムイオン動態を調整することで収縮、弛緩を制御する分子であるホスホランバン(PLN)遺伝子の変異は、心移植到達率の高い予後不良な心筋症を引き起こす。最も多いPLN p.Arg14del (R14del)変異は、難治性不整脈と重症心不全を特徴とする心筋症の原因となるが、その分子メカニズムは不明である。本研究では、PLN R14del心筋症による重症心不全症例から疾患iPS細胞を樹立し、ゲノム編集によりPLN遺伝子を精密に改変したアイソジェニックiPS細胞を作成する。その分化心筋を用いた詳細な機能解析を行うことで、疾患発症の根底となる分子メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、難治性の不整脈と重症心不全を呈する遺伝性心筋症であるホスホランバン心筋症の患者から、疾患由来iPS細胞を樹立し、ホスホランバン心筋症の疾患モデルを確立すること、および変異ホスホランバンのヒト心筋細胞内での分子動態を明らかにし、Ca2+動態への影響や、収縮低下を引き起こすメカニズムを明らかにすることである。 本年度は、ホスホランバン心筋症により左室補助人工心臓装着術を要した重症心不全患者2症例の末梢血単核球から、iPS細胞を樹立した。同iPS細胞に、CRISPR/Cas9と、変異アレルに特異的なガイドRNAを用いてゲノム編集を加え、疾患変異を修復したアイソジェニック株を作成した。これら疾患iPS細胞株、アイソジェニック株を対象に、核型解析、未分化マーカー発現の確認等の品質確認を実施した。得られたアイソジェニック株のiPS細胞を心筋細胞に分化させ、3次元化することで心筋の成熟度を上げるために、3次元自己組織化リング作成の条件を検討した。1症例に関しては組織化リングを再現性をもって作成し、約60日間培養し、疾患モデル、および変異修復モデルのリングを安定して得ることに成功した。 作成した組織化リングと、サンプルの収縮力、および剛性の測定が可能な機器であるMicrotesterを用いて、組織化リングの収縮力を測定し、ヘテロ接合体及び変異修復株における収縮力等の機能解析を実施している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、2症例からのiPS細胞の樹立とゲノム編集、および3次元自己組織化組織リング作成の条件検討を目標とした。1症例に関しては、ゲノム編集を用いてアイソジェニック株を樹立し、組織化リングの作成、およびリングを用いた収縮力測定実験まで進んでいる。iPS細胞には分化指向性があり、心筋の分化効率がやや悪く扱いに苦慮しているため、組織化リング作成の条件検討に難渋しており、予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き2症例目の3次元自己組織化組織リング作成の条件検討と収縮プロファイルの測定、および、両症例のiPS細胞由来心筋細胞を用いた変異ホスホランバンの生理機能の評価、Ca2+蛍光指示薬を用いたCa2+動態評価、およびGFPタグを付加した正常、変異ホスホランバンの強制発現系を用いたライブセルイメージング、及びホスホランバンと細胞内分子との相互作用の解明を行い、変異ホスホランバンが心筋症をひきおこす分子メカニズムを明らかにしていく方針である。
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