研究課題
若手研究
肺動脈性肺高血圧症の病態形成の過程では、M2マクロファージを中心とする炎症細胞が重要な役割を果たす。本研究ではM2マクロファージを制御する新規分子機構として、Colony stimulating factor 1受容体(CSF1R)に着目、CSF1Rの肺高血圧症における役割を明らかにする。マクロファージ特異的CSF1R欠損マウスを中心とした解析により、肺高血圧症におけるCSF1Rの意義を明らかにし、CSF1R阻害薬による治療の可能性を実証する。CSF1Rを介したマクロファージ分化増殖機構を制御することが肺高血圧症における新しい治療法として応用できる可能性があり、その実現性を検証する。
マクロファージの分化増殖機構に着目して肺高血圧症の病態の解明を進めている。まず動物を用いた検討として、SU5416/低酸素暴露による肺高血圧症モデルにおいて、肺動脈周囲にCD68陽性マクロファージ、Arginase1陽性M2マクロファージが、コントロール群より多く集積していた。また、マクロファージ特異的受容体で、マクロファージの増殖やM2マクロファージへの分化を制御するColony stimulating factor 1 receptor(CSF1R)のリン酸化が、コントロール群に比して、SU5416/低酸素暴露による肺高血圧症モデルで有意に生じていた。次に、細胞における検討として、CSF1Rの阻害薬をマクロファージ細胞であるRAW264.7細胞に投与し、免疫染色で評価したところ、RAW264.7細胞の増殖が、コントロール群に比して、CSF1R阻害薬の投与によって抑制されていた。
2: おおむね順調に進展している
SU5416/低酸素暴露による肺高血圧症動物モデルや、マクロファージ細胞を用いた検討が進展している。
SU5416/低酸素暴露による肺高血圧症動物モデルにおいて、CSF1Rを阻害することで、肺高血圧症の病態がどうなるかを検討する予定である。
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