研究課題/領域番号 |
23K15169
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
関 康史 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20649488)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
心血管疾患を引き起こす、動脈硬化の進展の機序には炎症が重要な役割を果たすが、その機序は明らかではない。心血管疾患のリスクが増加する成長ホルモン(GH)分泌不全症の患者血清中の炎症マーカーの上昇や、GH欠乏状態のマウスやヒトの脂肪組織(プロ)レニン受容体発現の増加、(プロ)レニン受容体による炎症の調節機構等の報告から、GH欠乏が脂肪組織(プロ)レニン受容体を介して炎症を惹起する可能性がある。本研究では、臨床及び基礎研究を用いて、GH依存性脂肪組織(プロ)レニン受容体による炎症の制御機構を解明し、GH欠乏状態での動脈硬化における脂肪組織(プロ)レニン受容体の役割を解明する。
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研究実績の概要 |
GH欠乏状態での動脈硬化における脂肪組織(プロ)レニン受容体の役割を解明することを目的とし、まず、非機能性下垂体疾患患者171例を対象に、GH分泌能と炎症マーカーである血中高感度CRP値との関連を後ろ向きに検討した。高感度CRPは、GH分泌能を示すGHRP-2負荷後GH頂値(GHpeak)と有意な負の相関を示し(r = -0.50, P < 0.001)、重症GH分泌不全合併例で非合併例と比べ有意に高値だった(P < 0.001)。高感度CRPの重回帰分析では、他の下垂体前葉ホルモンを含む多変量で調整してもGHpeakは有意であり(β = -0.343, P = 0.001)、GH以外の前葉ホルモン欠乏患者60例を除外しても有意(β = -0.263, P = 0.009)だった。下垂体手術を行った者の手術1年後の高感度CRPとGH分泌能の変化量(Δ)を縦断的に検討すると、Δ高感度CRP (60例)は、ΔGHpeakと有意な負の相関を示した(r = -0.46, P < 0.001)。これらのことからGHの分泌低下が炎症の惹起に関連することが示唆された。 次に、成人GH分泌不全症に対するGH補充療法と炎症の関連を前向きに観察した。8例の患者(平均50歳、男性4例、BMI 31.9 kg/m2)において、6ヶ月のGH補充療法後に高感度CRPが有意に低下することが示された(P = 0.001)。一方、GH補充療法前後で体組成や脂質代謝マーカー、肝機能に有意な変化は見られなかった。高感度CRPとGH分泌能の変化量(Δ)の間には有意な負の相関が見られた(R = -0.78, P = 0.023)。GH補充療法が炎症に対して抑制的に作用することが示唆された。現在、血中(プロ)レニン受容体測定を含めさらなる解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GH分泌能と炎症の関連についてアメリカ内分泌学会誌で発表した。前向き研究については現在解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
前向き研究の解析を進め学会発表、論文発表を行う。
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