研究課題/領域番号 |
23K15171
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
齋藤 佑記 日本大学, 医学部, 助教 (10838494)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 人工知能 / 心不全 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者は本研究の先行研究として、2022年2月に胸部X線画像から推定肺動脈楔入圧を算出する回帰型深層畳み込みニューラルネットワークを開発し、発表した。しかし、その心不全患者における臨床的な意義や予後の予測能はまだ評価されておらず、また、左房容積を推定することはできない。本研究の目的は、胸部レントゲン画像を用いて推定肺動脈楔入圧と推定左房容積係数の両方を算出するregression CNNモデルを構築し、その有用性を検証することである。さらに、急性非代償性心不全の症例において、この方法で算出した推定肺動脈楔入圧と推定左房容積係数が心不全の重症度や予後と関連するか調査する。
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研究実績の概要 |
胸部レントゲン画像を用いて左房容積係数を算出する regression CNNモデルを構築し、その有用性を検証することを目的とした研究を行っている。現在、2022年1月から8月までの期間に日本大学医学部附属板橋病院にて心血管疾患が疑われ心臓超音波検査と胸部レントゲン検査を施行された約500例の胸部レントゲンデータを収集した。1500例までのデータ収集を継続していく予定である。また、並行して、心不全レジストリ(SAKURA HF Registry-2, UMIN 000043852)の構築を行っている。同レジストリデータを使用し、現在心不全加療の中心となっている治療薬SGLT2阻害薬のreal worldでの予後改善効果を調査し、論文発表を行った。2018年から2022年までに心不全レジストリに登録された急性心不全症例を対象とし、心不全入院中のSGLT2阻害薬の予後との関連を検討した。入院中にSGLT2阻害薬が投与された群は、投与されなかった群に比し、退院後の死亡と心不全再入院のイベント発症率が有意に低かった(log-rank test, p<0.001)。また、左室駆出率に関わらず、SGLT-2阻害薬の投与と低イベントリスクは関連があった。これらの結果から、急性心不全患者において、SGLT-2阻害薬はLVEFに関わらず予後改善と関連することを示すことができた。これらの結果をESC Heart Failure. doi: 10.1002/ehf2.14597.2023(査読あり、Mizobuchi S, Saito Y, et al)として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、2022年1月から2023年1月までの期間に日本大学医学部附属板橋病院にて心血管疾患が疑われ心臓超音波検査と胸部レントゲン検査を施行された患者1500例を対象として胸部レントゲンデータを収集する予定である。現在、約500例のデータ収集を完了している。また、急性心不全レジストリデータも約1000症例分のデータを登録できている。しかし、当初予定していた深層学習モデルの構築とそれに関連する学会発表、論文発表は2023年には行えておらず、2024年度に行う方針とした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年1月から2023年1月までの期間に日本大学医学部附属板橋病院にて心血管疾患が疑われ心臓超音波検査と胸部レントゲン検査を施行された患者1500例を対象とし、心臓超音波検査により測定した左房容積係数と検査施行の7日以内の胸部X線画像を収集する。その後に、Python (ver3.6.9)によりコーディングした畳み込みニューラルネットワークを使用し、心臓超音波検査での左房容積係数を教師データとして、胸部X線画像を学習させ、深層学習のモデルを構築する全1500例のデータのうち、80%を教師データ(training group)、20%をテストデータ(test group)としてランダムに分割する左房容積係数の実測値と推定左房容積係数の相関関係、一致率について検証を行う。また、急性心不全レジストリデータを用いてその予後予測性についても検証を行う方針である。2024年度には、データ収集の完了と深層学習の構築を行う方針である。
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