研究課題/領域番号 |
23K15189
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坪内 和哉 九州大学, 大学病院, 助教 (60961927)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肺線維症 / 肺高血圧症 / 細胞老化 / 血管内皮細胞 / 特発性肺線維症 |
研究開始時の研究の概要 |
①TGF-βによる細胞老化誘導に着目し、老化した血管内皮細胞と血管平滑筋細胞・線維芽細胞を共培養し、肺高血圧症発症・肺線維化進展への影響を検討する。②血管形成に必要なSOX17に着目し、特発性肺線維症患者肺におけるSOX17の発現量を測定し、血管内皮細胞の細胞老化誘導および肺高血圧発症におけるSOX17の役割を明らかにする。③アデノウイルスベクターを用いたTGF-β1過剰発現、またはブレオマイシン反復投与による肺高血圧合併肺線維症動物モデルを用いて、細胞老化した血管内皮細胞の肺高血圧合併肺線維症病態への関与を明らかにし、また抗老化薬による肺高血圧症および肺線維化進展への抑制効果を検討する。
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研究実績の概要 |
特発性肺線維症において、細胞老化した上皮細胞や線維芽細胞は肺線維化の発症および進 展に関与しているが、細胞老化した血管内皮細胞の存在や役割については不明である。我々は特発性肺線維症の肺組織内に細胞老化した血管内皮細胞を見出した。そこで極めて予後の悪い特発性肺線維症および合併肺高血圧症病態における血管内皮細胞の細胞老化誘導のメカニズムや、細胞老化した血管内皮細胞による肺高血圧症の発症および肺線維化の進展への影響を明らかにすることを目的に研究を行った。 初代ヒト血管内皮細胞を用いて、肺線維症病態において重要なサイトカインであるTransforming Growth Factor-β:TGF-βが血管内皮細胞に細胞老化を誘導するかを検討した。血管内皮細胞において、TGF-βは濃度依存性にp16とp21の発現亢進、SA-β-gal染色陽性細胞増加、Histon H2AX発現亢進といった細胞老化マーカーを発現させた。また血管内皮細胞の上清中の分泌因子を測定したところ、特にsenescence-associated secretory phenotype (SASP)の代表的なものであるIL-6の増加を認めた。以上の所見よりTGF-βによる血管内皮細胞の細胞老化誘導に成功した。 肺高血圧の病態形成には血管平滑筋の増生、周囲の細胞外マトリックスの堆積がじゅうようであるため、今後は共培養実験系を用いて、老化した血管内皮細胞の周囲を構成する血管平滑筋細胞・線維芽細胞への影響を検討して、肺高血圧病態形成のメカニズムを探索していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血管内皮細胞に対して、重要なサイトカインであるTGF-βで細胞老化を誘導し、多面的に評価することができたが、血管平滑筋細胞や線維芽細胞との共培養系の確立が十分には出来ていない。また細胞老化を阻害する治療法の探索も十分に実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
老化した血管内皮細胞と血管平滑筋細胞・線維芽細胞との共培養を行う。 血管内皮細胞における細胞老化を誘導するメカニズムやTGF-β刺激による影響ををbulk RNA seqを行い探索する。 ブレオマイシン反復投与による肺高血圧合併肺線維症マウスモデルの樹立を行い、in vivoでin vitroの検討結果を確認する。
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