研究課題/領域番号 |
23K15218
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
滝口 寛人 東海大学, 医学部, 講師 (60710754)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肺胞マクロファージ / Ⅱ型肺胞上皮細胞 / 細胞間相互作用 / 共培養 / 嗅覚受容体 / コルチコステロイド / 炎症 / 特発性肺線維症 |
研究開始時の研究の概要 |
コルチコステロイドは、特発性肺線維症(IPF)急性増悪の治療において頻繁に用いられる一方、長期的にはかえってIPFの増悪リスクとなる可能性があるが、その機序、予防法については解明されていない。申請者は、急性増悪の炎症反応の進展において重要な役割を果たす肺胞マクロファージと抑制的に作用するⅡ型肺胞上皮細胞の相互関係に着目した。相互作用に関係する遺伝子群の中で炎症に関連する遺伝子群を見いだすことでコルチコステロイドの作用点が明らかとなり、再増悪を予測するバイオマーカーの開発、コルチコステロイド減量時の再増悪を予防する治療薬の開発に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
我々は、炎症に関連する肺胞マクロファージとⅡ型肺胞上皮細胞間の相互作用を調べるため、Transwell insertを用いて、ラット肺胞マクロファージの細胞株であるNR8383とⅡ型肺胞上皮細胞(ATⅡ)の共培養実験(n=2)を行った。具体的には、DEX 1mMの存在、非存在下でNR8383を24時間培養後にATⅡと共培養を開始、LPS 100ng/mLで24時間刺激したのちに、マイクロアレイ(Agilent SurePrint G3 Rat GE Microarray )を用いてトランスクリプトーム解析を行った。 結果、Lipopolysaccharides(LPS)で刺激時、ATⅡと共培養を行ったNR8383では、単培養群と比較してIl1b、Cxcl1、Cxcl2、Cxcl3など、好中球や単球などの細胞遊走に関わるサイトカインの遺伝子発現が低下していた。これは、共培養によってNR8383がATⅡから抑制シグナルを受けていることが示唆される所見と考えた。 また、LPS刺激時に共培養においてのみ変動する3,263遺伝子(NR8383の単培養では変動しない)に注目し、エンリッチメント解析を行い、発現変動遺伝子群はOlfactory transductionと関連があること(FDR = 1.05e-8)、嗅覚受容体(Olr)遺伝子群は共培養においてLPS、Dexamethasone(DEX)に対する異なる発現変動パターンを示すことを見出した。Olr遺伝子は鼻腔上皮細胞のみならずマクロファージを始めとした免疫細胞上に幅広く発現することで肺胞腔内に侵入した細菌などの異物を感知し、マクロファージの遊走、貪食、活性化に関与するとされる。炎症抑制に関与するOlrも報告されており、Olr遺伝子群は炎症環境における細胞間相互作用に関わる遺伝子の候補と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の上半期は、ラットから採集した初代培養細胞を用いた共培養実験を行う予定であったが、ラット1匹から採集できるマクロファージが想定より少ないなど技術的な問題があり、健常ラットの肺胞マクロファージであるNR8383を用いて解析を行った。下半期は、当初の計画通り、ラット数を増やすことで共培養実験に十分は肺胞マクロファージを採集することに成功した。また、骨髄を抽出し、monocyte colony-stimulation factorを用いてマクロファージ(単球由来マクロファージモデル)を分化誘導することに成功しており、2024年度にかけてこれら初代培養細胞を用いたトランスクリプトーム解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に用いた細胞株NR8383は、組織レジデントマクロファージに近い存在であると考えられ、初代培養細胞の肺胞マクロファージ(AM)を用いた実験で同様の結果が得られるかどうか検証を行う。さらに、骨髄から分化誘導を行ったマクロファージ(BMDM)を用いた共培養実験において、AMと異なる変動遺伝子群を抽出する。BMDMは、単球由来マクロファージモデルであり、より病的肺の形成に関与していることが報告されている。もし、LPS、DEXに対しマクロファージの由来に依存して発現変動パターンが異なる遺伝子群を同定することができれば、それらは病的肺の形成に関連する遺伝子として有力な候補となる。また、上述のin vitroで得られた結果をin vivoのデータで検証する。当初は、組織培養を用いたシングルRNAシーケンシングによる解析を予定していたが、組織検体からのシングルセル解析が学内の設備では困難であることが判明し、シングルセル解析の外注、あるいは公共データベース(ヒト肺線維症、あるいはマウスBleomycinモデルなど)の活用による検証を予定している。
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