研究課題/領域番号 |
23K15220
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
福泉 彩 日本医科大学, 医学部, 助教 (10754509)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 特発性肺線維症合併肺癌 / SPC25 遺伝子変異 / CADM1 遺伝子変異 / 全エクソーム解析 / JAK-STAT経路 / ブレオマイシン誘発マウス肺線維症モデル / CRISPR/Cas9法 |
研究開始時の研究の概要 |
特発性肺線維症合併肺癌(IPF-LC)の発癌に関わる分子メカニズムは未だ不明であるが、申請者は先行研究で IPF-LCの腫瘍部と線維化部およびびIPFを有さない肺癌患者(non-IPF-LC)の腫瘍部と正常肺を用いて、次世代シークエンサーによる全エクソーム解析を実施。その結果、IPF-LCに関連する有望な遺伝子変異として、CADM1、SPC25 両遺伝子変異を同定した。今回、候補遺伝子変異がそれらの遺伝子/タンパク発現にもたらす影響やpathway解析、pathwayに関連するタンパクの解析を追加し、IPF-LCの発生予測、また治療標的の同定、新規治療戦略の構築を目的に本研究を計画する。
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研究実績の概要 |
私たちは以前に19例のIPFを有する肺癌(IPF-LC)患者、10例のnon IPF-LC症例の腫瘍および背景肺に対し全エクソーム解析を実施し、IPF-LCに特異的に発現するCADM1、SPC25遺伝子変異を抽出。機能解析の結果、CADM1とSPC25がIPF-LCの診断マーカーおよび治療標的となり得る可能性を示した。 今回、肺扁平上皮癌細胞株においてCADM1がJAK-STAT3経路に対し抑制的な働きをするとの報告(Vallath S et al.SciRep.2016 1;6:24006)、またJAK-STAT3経路とIPFの関わりについて複数報告があることを踏まえ(Montero P et al.Int J Mol Sci.2021 9;22(12):6211)、IPF-LCの発生にCADM1、JAK-STAT3経路が関わっている可能性を考えた。siCADM1を使用してCADM1ノックダウン細胞を作製したところ、JAK-STAT3経路関連蛋白(JAK1、JAK2、STAT3など)の蛋白発現が上がること、加えて、SPC25の蛋白発現が上昇することが示せた。また、siJAK1を使用してJAK1ノックダウン細胞を作成したところ、STAT3のさらにはSPC25の蛋白発現低下を示すことができた。よって、これらから肺癌とくにはIPF-LCにおいてはCADM1およびSPC25がJAK-STAT経路を介し、間質性肺炎の発症および発がんに関わっている可能性を示唆された。 ブレオマイシン誘発マウス肺線維症モデルを作製し、肺線維症におけるSPC25の発現を評価した。その結果、同マウスモデルの肺組織においてはSPC25の蛋白発現が上昇することを示すことができた。 その他、CRISPR/Cas9法を用いてSPC25遺伝子変異導入株を作製し、現在サンガーシーケンス法でその成否について評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた実験についてはおおよそ進められており、現状予測された結果も得られている状況にある。2024年度末には論文作成を開始できるペースで進められていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
・CADM1/SPC25、JAK-STAT経路の関係性、および siJAK1を使用したJAK1ノックダウン細胞においてSPC25の蛋白発現が低下することを踏まえ、現在複数のJAK阻害剤を使用して同じくSPC25の発現低下、cell viabilityの抑制可否について検討を行っている。 ・肺線維症マウスモデルにLewis lung carcinoma を移植し、肺線維症 環境下で肺癌の動態、およびSPC25/CADM1の発現およびJAK-STAT経路関連因子の蛋白発現について評価を試みている。 ・将来的には、SPC25 knock out マウスを使用してブレオマイシン誘発マウス由来肺線維症モデルを作製し、knock out マウスにおいてIPFの重症度が下がることも明らかにしたいと考えている。 ・CRISPR/Cas9法を用いた 遺伝子編集に成功している場合には、遺伝子発現解析および細胞の浸潤、増殖能について検討したいと考えている。
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