研究課題/領域番号 |
23K15257
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤井 裕子 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (90878472)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 微小変化型ネフローゼ症候群 / 酸化ストレス / ミトコンドリア |
研究開始時の研究の概要 |
微小変化型ネフローゼ症候群は、後天性に蛋白尿をきたす小児疾患としては最も患者数が多く、高度蛋白尿と低アルブミン血症をきたす原因不明の疾患である。ステロイド治療は、一度は奏功することが多いが、8割の症例では再発と寛解を繰り返す。強力な抗酸化能を持つミトコンドリアは、種々の腎疾患との関連が示されている細胞小器官である。本研究では、ミトコンドリア障害の評価が、微小変化型ネフローゼ症候群の病勢評価に資するかを明らかにするため、モデルラットを用いて血清学・尿化学・腎組織学的なミトコンドリア障害の評価指標を検討する。本研究の成果を応用し、児の病勢に応じた最適な治療法に発展させることが期待できる。
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研究実績の概要 |
発症原因が不明の微小変化型ネフローゼ症候群において、これまでのピューロマイシンモデルラットを用いた研究により、尿蛋白量が増加すると糸球体ポドサイトのミトコンドリアDNA量は減少することを示した。すなわち、糸球体ポドサイトのミトコンドリア障害と微小変化型ネフローゼ症候群の病勢とは、関連していることが示唆された。当該年度は、モデルラット(蛋白尿増加前)において、まず、電子顕微鏡像における糸球体・尿細管のミトコンドリア正常像の確認をおこなった。また、モデルラット(蛋白尿軽度増加期、ネフローゼ期)において、蛋白尿が増加するほど、ミトコンドリア障害スコアも上昇することを確認した。尿蛋白量が増加するほど、機能的な面(ミトコンドリアDNA量)だけでなく、画像的な面(電子顕微鏡像のミトコンドリア形態)でも、障害が増大することが示された。この成果により、ミトコンドリア像を用いた病勢把握を行うことができれば、難治の可能性が高いと判断した症例には、早期からより強力な免疫抑制薬を併用して再発頻度を減少させるなど、個々の患児の病勢に合わせた最適な治療を実現することができると考えている。今後は、さらにモデルラットの糸球体・尿細管の電子顕微鏡でのミトコンドリアの評価を進めるとともに、臨床検体の腎生検残検体における糸球体・尿細管のミトコンドリアの評価も進めていき、双方の所見から、病勢評価の指標を確立することを目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説の通り、尿蛋白量が増加すると画像評価上のミトコンドリア障害も増加することを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、モデルラット検体をさらに追加して、画像評価を進める予定である。また、実際の患児の臨床検体についても、画像評価を進めていき、双方の所見を確認しながら、画像評価指標の確立を試みる。
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