研究課題/領域番号 |
23K15258
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
森山 智文 久留米大学, 医学部, 助教 (60770021)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | HIF-PHD阻害薬 / 腎性貧血 / 銅代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
過剰な銅は全身の臓器に蓄積し、酸化ストレスを亢進させ臓器障害を引き起こす。腎性貧血はCKDの主要な合併症の一つであり、最近上市されたHIF-PHD阻害薬はHIF-1αを安定化させ貧血を改善する。しかしながらHIF-1αは銅排泄の調整因子であるCOMMD1を不活化させて銅代謝を抑制することから、HIF-PHD阻害薬がさらなる血清銅の上昇をもたらし臓器障害を来たす危険性がある。本研究の目的は、HIF蛋白の銅代謝への影響を明らかにし、銅の体内への蓄積がCKDへ与える影響を解明することで、銅蓄積によるCKDの加速度的進行を抑制する治療戦略を創出する。
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研究実績の概要 |
【実験①】C57BL/6Jマウス(12週齢)をControl群(Vehicle投与)、HIF-PhD阻害薬群(10mg/kg.・週5日・4週間投与)に分けて血液・尿・肝臓における銅排泄遺伝子を比較した。また近位尿細管細胞(LLCPK1)や肝培養細胞(HepG2)、にCuSO4を投与して銅過剰による細胞障害を評価した。HIF-PhD阻害薬群では血清銅値、尿中銅、AST、ALTは上昇し、肝臓における銅排泄遺伝子ATP7Bは低下した。ATP7B遺伝子発現と血清銅と負の相関を認め、銅排泄の責任遺伝子であることが示唆された。また、近位尿細管培養細胞に銅を負荷すると、線維化マーカーであるαSMAは上昇したことから、肝排泄能低下に伴い尿中に増加した銅が腎線維化を誘導することが示唆された。 【実験②】 肝障害による銅代謝の変化を確認するため、四塩化炭素(CCL4)投与により肝障害を誘発した。6週齢のC57BL/6Jマウスに5%CCL4を5mL/kgを週3回・4週間腹腔内投与して慢性肝障害群(n=4)とControl群を作成して、10週齢での血清銅と肝臓における銅排泄遺伝子との関連を検証した。慢性肝障害群では血清銅値、尿中銅排泄は上昇し、肝臓における銅排泄遺伝子ATP7B・CTR1は低下した。ATP7B・CTR1遺伝子発現と血清銅と負の相関を認めた。 【まとめ】 HIF-PhD阻害剤による銅の上昇は、肝障害を反映している可能性があり、過剰な銅は腎線維症に影響することに注意が必要である。今後は肝障害の原因がHIF1αやHIF2αを介しているかを検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスに対してHIF-PHD阻害薬を投与することで、肝臓における銅排泄能が低下していることを突き止めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はHIFと銅排泄遺伝子との関連を検証していく。
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