研究課題/領域番号 |
23K15267
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉岡 華子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座講師 (60714269)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 神経線維腫症 |
研究開始時の研究の概要 |
神経線維腫症(NF1)は出生3000人に1人に生じる遺伝性疾患で、全身に神経線維腫を生じる。ほとんどは良性腫瘍であるが、悪性の末梢神経鞘腫瘍を生じ得る型があり、予後を規定するものの、悪性腫瘍を生じ得る原因や治療法について確立されていない。近年、皮膚に常在して循環血中に戻らず、フロントバリアとして機能するレジデントメモリーT細胞(Trm)が感染症のみならず、抗腫瘍効果も保持する可能性があると報告されている。本申請では、NF1腫瘍において、Trmの局在、表現型、機能が、NF1の臨床型別に、違いがあるかどうか、あるとすれば何が違うのかについて、詳細に検討する。
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研究実績の概要 |
神経線維腫症Ⅰ型(neurofibromatosis 1:NF1)は出生3000人に1人という比較的頻度の高い遺伝性疾患であり、全身に神経線維腫を生じる。そのほとんどは良性腫瘍であるが、思春期から悪性の末梢神経鞘腫瘍を生じ得る型があり、予後を規定する要因となる。しかし、悪性腫瘍を生じ得る原因や治療法については確立されていない。近年、皮膚に常在して循環血中に戻らず、フロントバリアとして機能するレジデントメモリーT細胞(resident memory T cells:Trm)が感染症のみならず、抗腫瘍効果も保持する可能性があることが報告されているため、本申請では、NF1腫瘍において、Trmの局在、表現型、機能が、NF1の臨床型の悪性腫瘍を生じ得る型と生じない型とで、違いがあるかどうか、あるとすれば何が違うのかについて、免疫学的な観点から詳細に検討することを目的とする。 臨床型によるNF1の遺伝子の発現の相違を調べるため、我々のグループでは、同一患者で異なる臨床型を両方持つ患者の、それぞれの腫瘍のシングルセルRNAシークエンシング解析を実施し、免疫学的観点から検討すると、悪性腫瘍を生じ得る型では、免疫制御性の、生じない型では免疫促進性の微小環境を持つことが判明し、論文発表した(Wang WN, Koguchi-Yoshioka, Wataya-Kaneda M et al, J Invest Dermatol, 2024)。今後、シングルセルRNAシークエンシング解析で発表した、臨床型によって異なる遺伝子発現に差がある、Trmをはじめとする遺伝子発現について、実際にどの細胞に発現の高低が存在し、周囲の線維芽細胞などの間質細胞や、免疫細胞と、腫瘍細胞とが、どのような分子を通じて相互作用を及ぼし合っているか、検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間トランスクリプトーム解析を行うためには、500分子程度に絞り込む必要がある。そこで、私達はまず、神経線維腫症Ⅰ型(neurofibromatosis 1:NF1)の臨床型による違いについて、シングルセルRNAシークエンシング解析を行い、その臨床型による遺伝子発現の違いを網羅的に解析した。上述のように、免疫学的観点から検討すると、悪性腫瘍を生じ得る型では、免疫制御性の、生じない型では免疫促進性の微小環境を持つことが判明し、論文発表が出来た(Wang WN, Koguchi-Yoshioka, Wataya-Kaneda M et al, J Invest Dermatol, 2024)。今後は、この結果をもとに、分子を絞り込んで空間トランスクリプトーム解析に進む予定であり、準備もおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、シングルセルRNAシークエンシング解析で得られた知見を、空間トランスクリプトーム解析に活かしていく予定であり、同解析において、腫瘍細胞の性状だけでなく、腫瘍細胞とレジデントメモリーT細胞をはじめとする免疫細胞の相互作用のループを突き詰めていきたい。シングルセルRNAシークエンシング解析で発表した、臨床型によって異なる遺伝子発現に差がある遺伝子について、実際にどの細胞の位置に存在し、周囲の線維芽細胞などの間質細胞や、免疫細胞と、腫瘍細胞とが、どのような分子を通じて相互作用を及ぼし合っているか、検討していく。
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