研究課題/領域番号 |
23K15271
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
水橋 覚 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (60965549)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | staple核酸 / 新規短鎖核酸 / メラノーマ / NAP1L4 / FOXM1 / 遺伝子発現抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬は進行期メラノーマ治療に有効だが、有害事象のために治療継続できない場合が多い。また、分子標的薬はBRAF変異陽性症例にしか適用されない。より多くのメラノーマ患者に適用可能な治療法が必要である。我々はメラノーマの増殖、遊走、浸潤にかかわるNAP1L4について研究を行ってきた。本研究では、新しい短鎖核酸(staple核酸)を用いて、NAP1L4遺伝子を抑制し、腫瘍の増殖や遊走浸潤に対する抗腫瘍効果をin vitro及びin vivoで評価する。この研究により、全く新しいがん治療法が開発され、他の悪性腫瘍への応用やNAP1L4以外のがん関連遺伝子の制御への応用が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、新規の短鎖核酸であるstaple核酸を用いて、メラノーマにおいて高発現している遺伝子を標的とし、その抑制による抗腫瘍効果の検討を目的としている。当初の標的遺伝子はNAP1L4であったが、現在はFOXM1にも焦点を当てている。研究計画では、NAP1L4およびFOXM1を標的としたstaple核酸の効果を、ヒトメラノーマ細胞株を用いてin vitroで評価することを重点的に進めている。さらに、免疫不全マウスモデルを用いてin vivoでの抗腫瘍効果も検討する予定である。 現在の進捗状況としては、NAP1L4の発現抑制は、staple核酸の設計や濃度調整などの実験条件の最適化が必要であり、現時点では達成されていない。一方、FOXM1を次の候補遺伝子として選択し、staple核酸の開発を進めている。FOXM1を標的とした理由は、メラノーマにおける高発現と、メラノーマ細胞の増殖や生存への関与が報告されているためである。 本研究の意義は、NAP1L4やFOXM1のような遺伝子を標的とした新しいがん治療法の開発に寄与する点にある。特定の腫瘍の増殖や進展に重要な役割を果たす分子を抑制することで、効果的な治療オプションを提供できる可能性がある。また、staple核酸という新規の短鎖核酸を用いることで、遺伝子発現抑制に新たなアプローチを提供し、がん治療における新たな治療戦略の開発に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主目的は、新規のstaple核酸を用いてNAP1L4の発現を抑制し、抗腫瘍効果を評価することであった。しかし、NAP1L4の発現抑制は、staple核酸の設計や濃度調整などの実験条件の最適化が必要であり、現時点では達成されていない。この遅れは、当初の計画から逸脱しており、研究の進捗に影響を与えている。 一方で、次の候補遺伝子であるFOXM1に対するstaple核酸の開発は進められている。FOXM1を標的とした理由は、メラノーマにおける高発現と、メラノーマ細胞の増殖や生存への関与が報告されているためである。FOXM1に対する研究の進展は、本研究の新たな方向性を示すものであり、がん治療法開発への貢献が期待される。 今後は、NAP1L4とFOXM1の両方を標的とした研究を並行して進め、staple核酸の最適化と抗腫瘍効果の検証を行う必要がある。実験条件の調整や、in vivoモデルでの評価の強化により、新たながん治療法開発への道筋を示すことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、NAP1L4とFOXM1の両方を標的とした研究を並行して進める。NAP1L4に対するstaple核酸の設計や濃度調整を継続しつつ、FOXM1に対する研究も精力的に進める。両遺伝子の発現抑制効果を比較検討し、より有望な標的を見出すことが求められる。staple核酸の実験条件の最適化を進めるとともに、in vitroでの評価に加え、in vivoモデルでの抗腫瘍効果の検証を強化する。さらに、複数のメラノーマ細胞株を用いて、効果の普遍性を確認する。また、研究リソースの効率的な配分も重要である。NAP1L4とFOXM1の研究の優先順位を適宜見直し、リソースを適切に配分する。 これらの推進方策と対応策を通じて、本研究は、NAP1L4とFOXM1を標的とする新しいがん治療法の開発に向けた着実な進展を目指す。staple核酸という新規アプローチの最適化と、複数の標的遺伝子に対する効果の検証により、がん治療における革新的な進歩につながることが期待される。
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