研究課題/領域番号 |
23K15280
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 良太 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10649213)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 掌蹠角化症 / 魚鱗癬 / 遺伝性角化症 / 先天性魚鱗癬 / バイオマーカー / 新規治療 |
研究開始時の研究の概要 |
掌蹠角化症や先天性魚鱗癬(以下、両疾患を遺伝性角化症と記載)患者は落屑や疼痛などの症状により著しく生活に支障をきたす遺伝性皮膚疾患である。本研究では原因遺伝子が同定されていない10家系の網羅的遺伝子解析を行い、新規原因遺伝子の同定を目指す。遺伝性角化症の効果的な治療法はなく、治療法の開発は喫緊の課題である。本研究では、遺伝性角化症患者の血液、病変部・非病変部組織を用いた網羅的なサイトカイン解析、RNA解析によりバイオマーカーの探索を行う。さらに、変異型ベクターを用いた機能解析により遺伝性角化症の更なる病態解明を行う。これらの手法により遺伝性角化症の新規原因遺伝子の同定および治療法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
1. 遺伝性角化症の新規原因遺伝子の同定 掌蹠角化症、縮毛症、化膿性汗腺炎、体幹を中心とする色素斑、脱色素斑を呈する常染色体顕性遺伝形式の家系のエクソーム解析を行った。昨年までに家系内の罹患者3名、非罹患者1名の解析によりアレル頻度1%未満かつ病原性の乏しい変異を除外した結果、約50の候補バリンとに絞っていた。本年度は新たに罹患者4名、非罹患者1名のエクソーム解析を追加し、本疾患の原因遺伝子と考えられる遺伝子Xの変異を同定した。遺伝子Xは遺伝性疾患として報告をされている遺伝子であるが、本家系の一部の症状は呈するものの、過去の報告とは明らかに臨床症状が異なっていることが示唆された。現在、主に色素斑、脱色素斑に着目し、患者検体を用いて遺伝子Xのコードするタンパクの発現を行っている。 2. 遺伝性角化症の遺伝子解析 既存検体および新たに受診された遺伝性角化症の患者検体を用いて遺伝子解析を施行した。掌蹠角化症の1名はSERPINB7に遺伝子変異が同定され、長島型掌蹠角化症と確定診断することが出来た。また、心疾患と魚鱗癬様症状を対する患者の遺伝子解析により、病状を説明しうる遺伝子変異を同定した。また、既知の原因遺伝子に変異が同定されていない患者検体を用いてエクソーム解析を施行したが、現状原因遺伝子の特定には至っていない。 3. 先天性魚鱗癬のバイオマーカー探索 本年度は新たな先天性魚鱗癬患者の受診はなく、追加でサイトカインの探索を施行することは出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規原因遺伝子の同定に関しては、本年度の研究により原因遺伝子の同定に繋がっており、順調に進んでいると考えている。一方で、魚鱗癬におけるバイオマーカー探索に関しては新たな検体を得られず、遅れている。 しかし、本研究の最大の目的である原因遺伝子の同定には至っていることから概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 遺伝性角化症の新規原因遺伝子の同定 本年度に原因遺伝子が同定できた家系に関しては引き続き、皮膚組織検体、毛髪検体を用いて、原因遺伝子と患者でみられた所見の関連性を明らかにしていく。特に、患者では幼少期に細かい脱色素斑があり、加齢とともに色素斑がみられることから、同定された遺伝子とメラノサイトの関係、加齢に及ぼす影響について解析を行っていく。 2.遺伝性角化症の遺伝子解析 新たに受診された患者の解析は引き続き行っていく。 3. 魚鱗癬のバイオマーカー探索 新たな患者が受診された際にサイトカイン解析を施行する。
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