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T細胞性急性リンパ性白血病におけるKLF4の機能解明および新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K15298
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

能浦 三奈  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (90828401)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード急性リンパ性白血病 / 転写因子 / KLF4
研究開始時の研究の概要

KLF4は様々ながんにおいて腫瘍抑制および腫瘍促進の両方に作用する転写因子である。本研究はT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)において、KLF4が抗腫瘍効果を示すという仮説を検証し、KLF4誘導薬を用いた新たな分子標的療法の開発を目指す研究である。In silico解析および分子生物学的実験により、KLF4がT-ALLの発症に重要ながん遺伝子を抑制する可能性を既に見出している。KLF4によるT-ALL関連がん遺伝子の制御機構を明らかにすると共に、KLF4誘導が有効なT-ALLサブタイプを同定する。

研究実績の概要

本研究はT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)における転写因子KLF4の機能を明らかにし、KLF4誘導薬を用いた新規治療法を提唱することを目的としている。
T-ALLにおけるKLF4標的遺伝子の同定を目標とし、in silicoおよびin vitroの実験を行った。In silico解析の結果、T-ALLで高頻度に異常発現が認められるTAL1がKLF4標的遺伝子の候補の一つとして選定された。TAL1陽性T-ALL細胞株4種類(Jurkat, MOLT-3, CCRF-CEM, RPMI-8402)にKLF4を過剰発現させたところ、すべての細胞株において細胞増殖が有意に抑制された。TAL1陽性T-ALL細胞株においてKLF4がTAL1の発現を抑制するか定量PCRで調べたところ、TAL1スーパーエンハンサー変異を有するJurkatおよびMOLT-3においてはTAL1の発現が有意に抑制された。一方でSIL-TAL1融合遺伝子を有するCCRF-CEMおよびRPMI-8402においてはTAL1の発現に変化は認められなかった。これよりKLF4はTAL1スーパーエンハンサーによって異常制御されたTAL1の発現を抑制することが示唆された。次にKLF4がTAL1スーパーエンハンサーの形成に重要な転写因子MYBの発現を制御するか検討した。定量PCR、ChIP、ルシフェラーゼレポーターアッセイを実施し、KLF4がMYBのプロモーターに結合し、MYBの転写を直接抑制することを明らかにした。さらにKLF4誘導薬であるAPTO-253がTAL1陽性T-ALL細胞株4種すべてにおいて著効することを確認した。TAL1の発現抑制が認められなかったCCRF-CEMおよびRPMI-8402におけるKLF4の抗腫瘍メカニズムについて現在検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度実施予定だった実験内容は概ね予定通りに終了し、次年度実施予定だったKLF4誘導薬を用いた実験も概ね完了している。これまでの研究内容について国内外の学会で発表することができており、当初の計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

KLF4による細胞増殖抑制がMYBおよびTAL1の発現抑制によるものか調べるため、KLF4過剰発現T-ALL細胞株にさらにMYBおよびTAL1の過剰発現ベクターを導入し、細胞増殖抑制がレスキューされるか検討する。現在これらの発現ベクターを作製中である。
KLF4過剰発現によりTAL1抑制が認められなかったCCRF-CEMとRPMI-8402におけるKLF4の抗腫瘍メカニズムについて検討する。これらの細胞株においてもKLF4過剰発現によりMYBの発現が抑制されたこと、MYBはT-ALLで高発現しているがん遺伝子であることから、MYBの発現抑制が重要なのではないかと考える。その場合TAL1ではないMYBの別の標的遺伝子が増殖に寄与していると考えられる。これを明らかにするため、CCRF-CEMおよびRPMI-8402にMYBを標的とするshRNAを導入し、MYBノックダウンによるフェノタイプを調べると共にRNA-seqで標的遺伝子を同定する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Parbendazole as a promising drug for inducing differentiation of acute myeloid leukemia cells with various subtypes2024

    • 著者名/発表者名
      Matsuo Hidemasa、Inagami Aina、Ito Yuri、Ito Nana、Iyoda Shinju、Harata Yutarou、Higashitani Moe、Shoji Kota、Tanaka Miu、Noura Mina、Mikami Takashi、Kato Itaru、Takita Junko、Nakahata Tatsutoshi、Adachi Souichi
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 7 号: 1 ページ: 123-123

    • DOI

      10.1038/s42003-024-05811-8

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] EBF1-JAK2 inhibits the PAX5 function through physical interaction with PAX5 and kinase activity.2023

    • 著者名/発表者名
      Kojima Y, Kawashima F, Yasuda T, et al.
    • 雑誌名

      Int J Hematol.

      巻: in press 号: 1 ページ: 65-74

    • DOI

      10.1007/s12185-023-03585-z

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Suppression of super-enhancer-driven TAL1 expression by KLF4 in T-cell acute lymphoblastic leukemia2023

    • 著者名/発表者名
      Noura Mina、Matsuo Hidemasa、Yasuda Takahiko、Tsuzuki Shinobu、Kiyoi Hitoshi、Hayakawa Fumihiko
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 43 号: 6 ページ: 447-456

    • DOI

      10.1038/s41388-023-02913-1

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] T細胞性急性リンパ性白血病においてKLF4はスーパーエンハンサーを介したTAL発現を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      能浦三奈、早川文彦
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Suppression of Super-Enhancer-Driven TAL1 Expression By KLF4 in T-Cell Acute Lymphoblastic Leukemia2023

    • 著者名/発表者名
      能浦三奈、安田貴彦、都築忍、松尾英将、清井仁、早川文彦
    • 学会等名
      第65回米国血液学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ZNF384融合蛋白転写標的の探索2023

    • 著者名/発表者名
      山田千晴、岡田健太郎、大平晃也、村木愛実、能浦三奈、岡本修一、安田貴彦、都築忍、早川文彦
    • 学会等名
      第85回日本血液学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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