研究課題/領域番号 |
23K15310
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
大町 太一 関西医科大学, 医学部, 講師 (20833057)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 脱ユビキチン化酵素 / 赤血球造血 / 造血不全 |
研究開始時の研究の概要 |
脱ユビキチン化酵素 X をコードする遺伝子に大規模欠損が起こると、骨髄不全(血球産生障害)、免疫不全を始め多彩な症状を呈する。しかし、免疫不全以外の機能はほとんどわかっていない。本研究では、X の赤血球造血における機能を調べる。(1) 疾患由来 iPS 細胞に対してゲノム編集により変異の修復を行うなどして、遺伝子 X と赤血球造血との関わりを検証する。(2) CAGE-seq により、患児・両親・健常者間で発現に差がある遺伝子の同定およびその発現変動への関与が予測される転写因子の探索を行う。これらの転写因子が X の脱ユビキチン化標的であるかを、疾患由来 iPS 細胞を用いて検証する。
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研究実績の概要 |
脱ユビキチン化酵素である、遺伝子 A に大規模欠損が起こると、骨髄不全(血球産生障害)、免疫不全、成長障害、発達遅延、骨格異常、特異顔貌など多彩な症状を呈する。遺伝子Aは常染色体劣性遺伝形式をとり、homozygous欠損でこれらの表現型が出現することがヒトおよびマウス実験で分かっている。しかし遺伝子 A は免疫不全以外、詳細な機能はほとんどわかっていない。 本研究では遺伝子 A の exon x のみの複合ヘテロ接合性変異を獲得し、赤血球造血不全のみを発症した患者を対象として、遺伝子 A の exon x が赤血球造血に及ぼす影響および機能を調べる。 遺伝子 A の exon x を解析するにあたり、in silico で遺伝子 A のタンパク質結晶構造を予測したところ遺伝子 A の exon x は遺伝子 A が脱ユビキチン反応を起こすためのユビキチンに結合する重要な部分をコードしていることが判明した。 次に、遺伝子 A の機能解析を行うために、「遺伝子Aのexon xのhomozygous欠損を有し赤血球造血不全を来した患者」と「遺伝子Aのexon xのheterozygous欠損を有し造血異常がない両親」から末梢血単核球を採取した。それぞれの単核球から遺伝子Aの異なる変異を持つ3種類のiPS細胞を樹立し、安定的に継代が可能であることを確認した。今後、赤血球造血への分化誘導を行い遺伝子 A の exon x の機能解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は患者および両親からiPS細胞を樹立することであり、安定的に継代できるiPS細胞を樹立できたため、「おおむね順調に進展している」と評価した。 赤血球系への分化誘導および分化したかどうかの確認まで出来ていれば「当初の計画以上に進展している」と評価することが出来たが、分化誘導に必要な試薬の準備や体制の構築に時間を要したため、そこまで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
患者および両親から樹立したiPS細胞を用いて赤血球系へ分化誘導を行い、患者と両親で赤血球造血に違いがあるかを評価する。 赤血球系へ分化したかどうかについては、分化させた細胞の塗抹標本を用いた病理組織学的所見、およびフローサイトメトリーによる赤血球系細胞特異的な表面抗原の発現の有無で行う。 また、遺伝子 A の exon x 欠損マウスを作成し、homo欠損させることで赤血球造血が障害されるかを確認する。
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