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「微量のVWF発現の有無」がVWFインヒビター発生に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 23K15322
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

岡本 修一  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (80899675)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードType3 VWD / VWD / VWFインヒビター
研究開始時の研究の概要

von Willebrand病 (VWD)では、von Willebrand因子(VWF)の量的・質的異常によって止血障害を来す。Type3 VWDはVWFの完全欠損型で、VWFの補充療法が必須である。しかしVWFインヒビター発生例では、止血効果の減弱やアレルギー症状によって止血治療が破綻する。 VWFインヒビターの発生要因は未だ不明である。実地臨床で診断されたType3 VWDには「VMFの完全欠損型」と「微量のVWFを発現する亜型」が混在しているが、臨床検査で両者を区別することはできない。本研究では、Type3 VWDの分子病態解析によって各病型のインヒビター発生率を検討し「徹量のWF発現の有無」 がVWFインヒビター発生に及ぽす影響を明らかにする。

研究実績の概要

本研究が対象とするType3 VWD診断例の集積とその分子病態解析を実施した.本学倫理委員会で承認された研究協力施設には,Type3 VWD症例情報と検体の回収を依頼し、自施設の症例と合わせて本年度は10症例が登録された。
本年度の分子病態解析は、当施設に通院歴のある約5症例を中心に解析を実施した.血中VWF蛋白の解析はenzyme linked immunosorbent assay (ELISA),マルチマー解析,ELISAによるVWFインヒビターの検出を実施した,5例中2例において健常人の100分の1程度のVWF抗原量が検出された.マルチマー解析では2例とも低分子量域のみが確認され,「微量のVWF」を発現していることが判明した.この2例については、VWFインヒビターは検出されなかった.また、「微量のVWF」を発現していたこの2例の遺伝子解析では、ダイマー形成に必須のジスルフィド結合を含むCKドメインにおける同一のミスセンス変異が同定された.
他の症例では,ELISAやマルチマー解析でVWFは検出されず、VWFの完全欠損型と考えられた.
研究対象者の同意が得られた症例では、末梢血からendothelial colony forming cell (ECFC)を樹立して、VWFの発現状態を共焦点顕微鏡によって詳細に検討したが、VWFの発現を認めない「完全欠損例」が多数を占めた.少なくとも本年度の解析症例では、「VWFの完全欠損例」にVWFインヒビター発生を見ており、本研究の仮説が支持される結果となっている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自施設でType3 VWDと診断されている症例について、臨床検査値の確認や出血症状を含めた病状・経過について情報を集計し、本研究に参加する症例の抽出・登録を実施した。登録症例について、In houseでの血中VWF抗原量の測定、マルチマー解析を含む血中VWF蛋白の解析を予定通り実施し、「微量のVWF」を発現する症例とVWFの完全欠損症例確認した。さらに血中VWFインヒビターの存在についてもin houseELISAで検討を行った。
これらの症例の遺伝子解析については、ダイレクトシークエンスによって解析を実施し、血中VWF蛋白の解析と合わせて分子病態としてType3 VWDの病態評価を実施することができた。
研究協力施設の症例に関しては、予め本研究の参加要件を満たしうるTyoe3 VWD症例について周知し、各施設において候補症例の抽出が実施されている。既に参加要件を満たす症例について、検体の提供が実施された施設もあり、本研究における解析対象症例が一定数得られている。

今後の研究の推進方策

引き続き本研究が対象とするType3 VWD症例の分子病態解析を進める.特に患者由来のendothelial colony forming cell (ECFC)を用いた血管内皮細胞レベルでのVWF発現の検討を進める。本研究への登録症例は本年度に一定数得られてはいるが、我が国のType3 VWDの症例数の把握も念頭において、研究協力施設からの登録症例数を確保していく。遺伝子解析と血中VWF蛋白、ECFCにおけるVWF発現の状態を合わせ、分子病態レベルでの「VWF完全欠損」と「微量のVWFを発現する亜型」を分類する.この分類がVWFインヒビター保有例の分子病態の特徴を捉える上で極めて重要と考えている。また,本年度確認された「微量のVWF」を発現する病型については,バリアントVWFの強制発現系を構築し,その分子病態について検討を行う.今後,同様の分子病態を有する症例がさらに増加するかどうか注意深く検討していく.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Basement membrane extract potentiates the endochondral ossification phenotype of bone marrow-derived mesenchymal stem cell-based cartilage organoids2024

    • 著者名/発表者名
      Notoh Hinako、Yamasaki Satoshi、Suzuki Nobuaki、Suzuki Atsuo、Okamoto Shuichi、Kanematsu Takeshi、Suzuki Naruko、Katsumi Akira、Kojima Tetsuhito、Matsushita Tadashi、Tamura Shogo
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 701 ページ: 149583-149583

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2024.149583

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Variability in combinations of APTT reagent and substrate plasma for a one-stage clotting assay to measure factor VIII products2024

    • 著者名/発表者名
      Suzuki A, Suzuki N, Kanematsu T, Okamoto S, Suzuki N, Tamura S, Kikuchi R, Katsumi A, Kojima T, Matsushita T
    • 雑誌名

      Int J Lab Hematol

      巻: 5 号: 4 ページ: 12-12

    • DOI

      10.1111/ijlh.14258

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Clinical course and prognosis of patients with hepatocellular carcinoma and haemophilia2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuda Noritaka、Imai Norihiro、Yokoyama Shinya、Yamamoto Kenta、Ito Takanori、Ishizu Yoji、Honda Takashi、Okamoto Shuichi、Kanematsu Takeshi、Suzuki Nobuaki、Matsushita Tadashi、Ishigami Masatoshi、Kawashima Hiroki
    • 雑誌名

      European Journal of Gastroenterology & Hepatology

      巻: 35 号: 10 ページ: 1211-1215

    • DOI

      10.1097/meg.0000000000002628

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 患者由来endothelial colony forming cell (ECFC)を用いたVWF欠損状態における血管新生能の評価2023

    • 著者名/発表者名
      岡本修一、鈴木伸明、田村彰吾、鈴木敦夫、鈴木奈瑠子、清井仁、小嶋哲人、松下正、早川文彦
    • 学会等名
      第45回日本血栓止血学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] VWF欠損患者における血管新生能の異常2023

    • 著者名/発表者名
      岡本修一、鈴木伸明、田村彰吾、兼松毅、鈴木敦夫、鈴木奈瑠子、川口裕佳、清井仁、早川文彦、小嶋哲人、松下正
    • 学会等名
      第85回日本血液学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 周術期の止血に難渋した先天性第V因子欠乏症の1例2023

    • 著者名/発表者名
      兼松毅、鈴木伸明、鈴木奈瑠子、岡本修一、鈴木敦夫、田村彰吾、早川文彦、小嶋哲人、清井仁、松下正
    • 学会等名
      第85回日本血液学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Dダイマーモニタリングによる血栓ハイリスク妊婦に対する抗血栓療法2023

    • 著者名/発表者名
      川口裕佳、鈴木伸明、鈴木奈瑠子、岡本修一、兼松毅、鈴木敦夫、田村彰吾、小嶋哲人、牛田貴文、今井健史、小谷友美、清井仁、松下正
    • 学会等名
      第85回日本血液学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 先天性無フィブリノゲン血症2症例に同定したFGA exon 4のホモ接合体欠失2023

    • 著者名/発表者名
      田村彰吾、桂木裕実、鈴木伸明、岡本修一、藤井渉、鈴木敦夫、兼松毅、鈴木奈瑠子、能藤日向子、山崎智司、岡本修一、鈴木敦夫、小嶋哲人、松下正、早川文彦
    • 学会等名
      第45回日本血栓止血学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 検査と技術 9月・増大号 匠から学ぶ血栓止血検査ガイド2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 修一
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      医学書院
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 別冊日本臨牀 血液症候群 (第3版) III2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 修一
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      日本臨牀社
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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