• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

単一遺伝子異常による自己炎症性疾患を対象とした細胞死と炎症の関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K15335
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

植木 将弘  北海道大学, 大学病院, 医員 (30815288)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワード細胞死 / 炎症 / 自己炎症疾患 / TNF / 自己炎症性疾患
研究開始時の研究の概要

本研究は単一遺伝子異常を背景に発症する自己炎症性疾患(AID)をモデルとして、皮膚・腸管・そして全身の炎症メカニズムを解明することを目標とする。現在、自己免疫疾患・炎症性腸疾患など様々な炎症が関連する疾患で病態の解明が進められており、その中で細胞死との関連が注目されている。AIDはその発症背景が明らかであるため、AIDにおける病態を解明することで他の様々な疾患の病態解明にも役立つと考えられる。

研究実績の概要

本研究はOTULIN関連自己炎症症候群(以下ORAS)およびPyrin-associated autoinflammation with dermatosis(以下PAAND)という2つの稀少自己炎症疾患患者でTNF阻害治療が非常に有効であったという背景を元に研究を着想し、開始している。ORASは既にその病態の1つに過剰な細胞死が確認されており、本研究では細胞死とTNFの関連性を検証する。PAANDについては、Pyrin-inflammasomeの過剰活性化によって発症する疾患であり、TNFの上流に位置する炎症活性化機構が直接的に関連しており、本疾患における細胞死の有無やTNFとの関連性は確認されていなかった。今年度は下記の2点について解析を行い、病態との関連性が示唆される結果が得られている。
1.ORASの解析に関しては、当科で経験した患者の病態を解明する研究を継続し、新規の発症メカニズムを解明し、近日中に発表予定である。また、細胞死とTNFの関連性を評価するために、患者の皮膚組織検体を用いて細胞死およびTNFの発現を評価したところ、患者の検体では真皮に細胞死の所見を認め、TNFの発現も同様であることを確認した。
2.PAANDの解析においては、皮膚組織検体での細胞死の評価を行い、ORAS同様に患者の真皮で細胞死の増加を認めた。TNFの発現も真皮で亢進していることを確認した。
いずれの患者でも真皮での細胞死とTNFの発現亢進が認められ、真皮におけるTNF発現と細胞死が病態に関連し、TNF阻害治療のターゲットになっている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究のきっかけとなったORAS患者の詳細な病態を検証し、新規の発症メカニズムを証明することができた。これにより、より強固な背景をもって研究を進めることができる。次に、本研究の根幹となる細胞死とTNFの関係について、いずれの患者においても真皮に通常は認められない細胞死が増加している事、TNFも同様であることが確認され、病態との関連性が確認されている。また、細胞死に関連して、Pyrin-inflammasomeの過剰活性化ではPyroptosisが亢進することが示唆されるが、PAAND患者においては既報と同様にIL-18の発現は表皮に限局している事が確認された。Pyroptosisの結果、IL-1βやIL-18が周囲に放出されるというメカニズムを考慮すると、真皮で確認された細胞死はPyroptosisとの関連性が強くない事が示唆される。

今後の研究の推進方策

今後は2つの手法により上記の病態をより詳細に検証する。1点目は患者皮膚組織における網羅的な発現解析(RNAシークエンス、プロテオーム解析など)を施行し、炎症や細胞死に関連する分子の発現に着目して検討を行う。2点目は患者で認められた細胞死とTNFの関係性を体外の解析系を用いて再現し検討を行う。これまで得られたデータでは、TNFの発現が浸潤している炎症細胞に限局していない、細胞死は比較的浸潤細胞を中心に認められているが真皮に存在する細胞にも認められているという2つの事象が確認されている。これまでの研究でPAAND患者の遺伝学的バリアントを導入した単球系細胞THP-1は無刺激の状態で過剰な細胞死が確認されており、今後は実際の患者細胞やiPS細胞による細胞死(細胞死の種類の検討を含めて)とTNF産生の関連性を検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A de novo dominant-negative variant is associated with OTULIN-related autoinflammatory syndrome2024

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Takeda, Masahiro Ueki, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Medicine

      巻: 6 号: 6

    • DOI

      10.1084/jem.20231941

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Pyrin-associated autoinflammation with dermatosisに対するTNF阻害薬の作用機序に関する考察2024

    • 著者名/発表者名
      植木 将弘、竹崎 俊一郎
    • 学会等名
      第68回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi