研究課題/領域番号 |
23K15343
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中川 詩織 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (80876681)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 腸内細菌 / 腎臓 / 全身性エリテマトーデス / ループス腎炎 / OCTN1 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、腸内環境の変化からSLE進展をつなぐ機序として、小腸に多く分布する膜輸送体のCarnitine/organic cation transporter-1(OCTN1)に着目した。本研究の目的は、OCTN-1を介した腸内細菌関連物質の移動による、SLEの進展機序を解明することである。OCTN1を介したSLEの進展機序の解明することで、SLEの新たな病態の解明とともに、未だ限られた治療法に、新たな選択肢を加えられる可能性もあり、学術的、医学的に非常に重要な課題であると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、OCTN-1を介した腸内細菌関連物質の移動による、SLEの進展機序を解明することである。今年度は、OCTN1 KOマウスを用いた疾患活動性の評価を行った。ループスモデルマウスである、 MRL-Fas lpr マウスを用いて検討を行った。OCTN1-/-MRL-Fas lprマウス(n=24)と MRL-Fas lpr マウス(n=18)では、OCTN1-/-MRL-Fas lprマウスの方が1年後の生命予後が不良であった。腎障害については、組織学的所見や腎機能、尿蛋白初見では双方に差は認めなかった。皮膚所見については、OCTN1-/-MRL-Fas lprマウスはMRL-Fas lpr マウスと比較して病変は軽微であった。腎臓や腸管リンパ節へのbacterial translocationについては、OCTN1-/-MRL-Fas lprの方が軽微であった。末梢血のマクロファージとCD8陽性T細胞も、OCTN1-/-MRL-Fas lprの方が低値であった。以上の所見より、生命予後、腎病変を除く皮膚所見、末梢血の炎症細胞分画、腸管リンパ節や腎臓への腸管からのbacterial translocationはOCTN1 KOマウスの方が軽微であり、OCTN1による腸内細菌の移行がSLEの病勢に関与する可能性が示唆された。これらの結果は概ね予備実験の結果と相違なく、来年度はMRL、MRL-Fas lpr 、OCTN1-/-MRL-Fas lprマウスで腸管透過性とOCTN1の関与について評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた、OCTN KOマウスでのSLE疾患活動性の評価は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
MRL、MRL-Fas lpr 、OCTN1-/-MRL-Fas lprマウスで腸管透過性とOCTN1の関与について評価を行う。腸内細菌のメタゲノム解析によるdysbiosisの評価と、腸管のタイトジャンクション蛋白(ZO-1)発現の関係を検討する。蛍光デキストランを投与し体内濃度を解析することで、機能的な腸管からの漏出を確認する。くわえて、各種臓器における細菌培養、16S rRNA解析による血中、腎組織への腸内細菌移行の比較を行う。また、培養腸管上皮細胞を用いて、OCTN-1発現の有無によるタイトジャンクション蛋白への関与を検討する。さらに、タイトジャンクション発現に関わる細胞内シグナル伝達とOCTN1の関係を明らかにし、leaky gutの機序を解明する。
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