研究課題/領域番号 |
23K15376
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
村上 大地 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30794218)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 侵襲性肺炎球菌感染症 / スフィンゴシン1リン酸受容体 / 肺炎球菌感染症 / スフィンゴシン1リン酸受容体 / 一過性受容体電位型チャネル / Nose-to-Lung / Nose-to-Blood |
研究開始時の研究の概要 |
スフィンゴシン1リン酸受容体 (S1PR3)/ 一過性受容体電位型チャネル (TRP) チャネル経路は生体が強いストレスを受けた際に活性化され、そのS1PR3/TRPチャネル経路に着目した重症化機序の解明は感染症重症化抑制治療の開発に貢献すると考えられる。本研究では、インフルエンザウイルス重感染による肺炎球菌感染症の重症化におけるS1PR3/TRP経路の役割を、S1PR3欠失マウスを用いた、肺炎球菌鼻腔感染後の①重症侵襲性肺炎(Nose-to-Lung)、②中枢神経感染(Nose-to-Brain)、③敗血症(Nose-to-Blood)の三つのモデルを作製することで解明する。
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研究実績の概要 |
侵襲性肺炎球菌感染症は、鼻腔で保菌状態となった肺炎球菌が他臓器へと移行することで発症するが、鼻腔保菌された肺炎球菌がどのような機序で侵襲性感染症を引き起こすかについての分子生物学的機序は十分に解明されていない。スフィンゴシン1リン酸(Sphingosine-1-phosphate: S1P)は、生体内で様々な生理活性を持つ脂質メディエーターであり、敗血症において血中濃度の上昇が認められるなど、侵襲性感染症の分子マーカーとして注目されている。一過性受容体電位型チャネル(Transient Receptor Potential: TRP)は温痛覚感知機構の主要分子であるとともに温痛覚以外の様々な外部刺激によっても活性化されることが知られている。近年TRPチャネルによる恒常性維持機構が感染症の重症化にも関与することが明らかとなり、申請者らは、TRP Vanilloid 1 (TRPV1)およびTRPV4が肺炎球菌感染症の重症化に関与することを報告した。一方で、鼻腔に定着した肺炎球菌がどのようなシグナル経路でTRPV1/TRPV4を活性化し、宿主の免疫応答を誘導するのかについての分子機序は未解明である。本研究はこれまで解明されていないS1PとTRPとの関連に着目し、①肺炎球菌感染症の重症化におけるS1P/ TRPを介した経路の役割を明らかにし、②S1P阻害による重症化抑制治療の基盤となる科学的根拠を得ることを目的とする。C57BL/6Jマウスを背景とした、野生型マウスおよびS1P受容体3 (S1P receptor 3: S1PR3)欠損マウスを導入し、肺炎球菌血清型6Aを無麻酔下で経鼻感染させ、以降の生存率を比較した。野生型マウス、S1PR3欠損マウスとも、経鼻感染後の菌血症発症を認めず、生存率に差は認めなかった。現在高病原性肺炎球菌株の選定および至適感染菌量の調整を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
S1PR3欠損マウスの導入にあたり、安定したマウスの確保に期間を要したこと、侵襲性感染に要する至適投与量の再検討が必要となったことなどから、計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、S1PR3欠損マウスの解析にあたり安定したマウス数の確保ができてきており、継続的な研究が可能となっている。肺炎球菌の投与量や菌株(血清型)の変更など、経鼻感染による侵襲性感染症発症モデルの再構築を行っている。
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