研究課題/領域番号 |
23K15380
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
美山 貴彦 藤田医科大学, 国際再生医療センター, 講師 (00770330)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | SARS-CoV-2 / T細胞受容体 / 細胞性免疫 / SARS-CoV / TCR遺伝子配列解析 / TCR機能解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、COVID-19ワクチンによって誘導される細胞性免疫に対する新規評価システムを確立することを目的とする。ワクチン接種者が保有するSARS-CoV-2抗原特異的T細胞からT細胞受容体(TCR)遺伝子を取得し、抗原ペプチドとTCRの結合親和性の検証により変異株に対しても親和性の高いTCRの遺伝子配列を同定する。さらに高速シークエンシング技術を用いたTCR遺伝子配列の網羅的解析を行い、末梢血中における変異株を認識可能なT細胞クローンの存在頻度を定量化し、その体内動態を追跡することで細胞性免疫におけるワクチン効果の持続性を検討する。
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研究実績の概要 |
COVID-19の発症・重症化予防に臨床試験にて良好な有効性を示すワクチンが実用化される一方、その効果の持続性に関する情報や、変異ウイルスへの交差性等の情報を得ることが必要とされている。本研究は、ワクチン誘導性細胞性免疫に対する新規評価システムを確立することを目的とする。 2023年度は、ワクチン接種歴のある健常ドナーの末梢血に存在するSARS-CoV-2スパイク抗原特異的T細胞頻度の測定、およびそれらT細胞からTCR遺伝子のクローニングを行いTCRの抗原ペプチドに対する結合親和性の評価を行った。スパイク蛋白のアミノ酸配列情報をもとにHLA-A24に対する結合性が予測される5種類のペプチド(QYI,TYV,VYST,VYSS,NYN)とHLA-A2に対する結合性が予測される4種類のペプチド(YLQ,RLQ,RLN,KLP)を合成し、それらペプチドを搭載したMHCテトラマーを作製した。ドナー末梢血単核球をMHCテトラマーで染色し、陽性となったT細胞集団をセルソーターで単一細胞に分離し、cDNAの合成を行い単一T細胞レベルでのTCR遺伝子配列の同定を行った。これまでに8人のドナーからHLA-A24拘束性TCR遺伝子を129種類、HLA-A2拘束性TCR遺伝子を26種類取得することができた。続いて、これらのTCR遺伝子を発現させたレポーターT細胞を作製し、抗原ペプチドを段階希釈して負荷した抗原提示細胞と共培養し、レポーター活性を測定することで各TCRと抗原ペプチドの結合力の情報を得ることができた。次に各TCRをiPS細胞から分化誘導して樹立したキラーT細胞に発現させ、抗原ペプチドを負荷した標的細胞を殺傷することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数のワクチン接種者の末梢血検体を用いてSARS-CoV-2を特異的T細胞の検出および測定することができた。またそれらT細胞が発現しているTCR遺伝子配列を同定し、機能解析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きドナー数を増やして末梢血SARS-CoV-2特異的T細胞の測定、およびTCR遺伝子のクローニングおよび機能解析を継続する。同一ドナーでのSARS-CoV-2特異的T細胞クロノタイプ頻度を経時的に測定し、ワクチン接種によって誘導されるSARS-CoV-2に対する細胞性免疫の持続性の検討を行う。
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