研究課題/領域番号 |
23K15396
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
鹿野 健史朗 大分大学, 医学部, 助教 (10825681)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 摂食行動 / 視床下部 / 神経ペプチド / 高次脳機能 / マウス / エネルギー代謝調節 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、肥満症や神経性やせ症(拒食症)などの摂食障害が増加している。最近、摂食調節機構に関してエネルギー恒常性のみならず脳内報酬系などの高次脳機能に関する研究が注目されている。これまで申請者はエネルギー恒常性維持に着目し、新規脳内因子NPGL及びNPGMが摂食行動や脂質代謝の調節を介して脂肪蓄積を促すことを明らかにしてきた。本研究では、申請者らが独自に作製したNPGL及びNPGM遺伝子欠損マウスを用いて、NPGL及びNPGMの高次脳機能が関わる摂食調節機構の解明を行いたい。本研究の遂行により、肥満症や神経性やせ症の発症・予防に関する新たな知見を得ることができると確信している。
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研究実績の概要 |
近年、ライフスタイルの変化やストレスにより過食や拒食などの摂食障害が原因となる肥満症や神経性やせ症が増加しており、これらの疾患が原因となり健康寿命の短縮や生活の質(QOL)の低下が問題となっている。そのため、摂食調節機構の破綻が関わる疾患の予防や治療法の確立が求められており、脳内報酬系などの高次脳機能が関わる摂食調節機構に関する研究が注目されている。これまで申請者はエネルギー恒常性維持に着目し、新規脳内因子NPGL及びNPGMが摂食行動や脂質代謝の調節を介して脂肪蓄積を促すことを明らかにしてきた。本研究では、NPGL及びNPGM両遺伝子欠損マウスを用いて、NPGL及びNPGMの高次脳機能が関わる摂食調節機構の解明することを目的に解析を行った。その結果、本遺伝子欠損マウスでは、水道水とスクロース水を用いた二瓶選択試験により、スクロース嗜好性が低下することが示された。一方で、NPGL及びNPGM両遺伝子欠損マウスは通常飼育時には野生型マウスに比べて摂食量の減少が認められたが、孤独ストレス条件下では摂食量の抑制作用が認められなかった。また、オープンフィールド試験において、NPGL及びNPGL両遺伝子欠損マウスでは不安様行動が減少することが示された。以上のことから、NPGL及びNPGMは食事嗜好性や不安・ストレスなどの高次脳機能に関連した摂食調節機構に関与することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は申請時の実施計画に基づき、NPGL/NPGMシステムの高次脳機能に関連する摂食調節機構に関して生理機能解析を行った。その結果、NPGL/NPGMシステムが食事嗜好性や不安・ストレスなどの高次脳機能に関与することが明らかになった。特にこれまでに全く報告されていなかったNPGL/NPGMシステムと不安やストレスとの関連が示されたため、本研究課題は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの研究遂行により、NPGL/NPGM両遺伝子欠損マウスが食事嗜好性や不安・ストレスに関与することが示された。今後は、これらの行動実験条件下における神経伝達物質動態や遺伝子発現解析等を行うことで、NPGL/NPGMシステムの脳内分子メカニズムを解析する予定である。
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